2012 Fiscal Year Research-status Report
就職活動におけるコヒアランス感覚の機能に関する縦断的研究および介入効果の検討
Project/Area Number |
24730589
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤里 紘子 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50610333)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | コヒアレンス感覚 / 就職活動 |
Research Abstract |
2012年度は,3か年計画の初年度であった。 就職活動開始前から終了後まで約2年間にわたって調査対象者を追跡する必要があるため,全3回の調査をweb調査にて行うこととし,全国の国立・私立大学の大学生を対象に調査協力を依頼した。同意の得られた368名に対して第1回目のweb調査を実施した。調査時期は,2012年7月~8月であった。368名中239名から回答が得られ,そこから大学3年生以外と就職活動を行う予定のない者を除外し,最終的に220名が分析対象および継続調査対象となった。 本研究は縦断的研究であり,主要な目的を達するためには3時点で得られたデータを全て用いて分析を行う必要があるが,ここでは第1回目の調査データのみを分析した結果について報告する。 コヒアレンス感覚(以下,SOC)と自己効力感(以下,SE)が,人生キャリア成熟性を介して就職活動を考えた際の気分に及ぼす影響についてパス解析を行ったところ,SOCは,人生キャリア成熟性を高め,就職活動を考えた際の気分に対して直接的にポジティブな影響を及ぼすことが明らかとなった。ただし,人生キャリアに関心を持ち,自律的にかかわろうとするほど焦りや緊張を感じ,もやもやとした気分を抱えることも示されたことから,SOCが強いほど,人生キャリアの構築に対して積極性が高いため,就職活動に際しては現実的な焦り等も感じるが,抑うつや落胆はあまり感じることなく,比較的気分よく活動に取り組むことができることが示唆された。一方で,これまで就職活動に取り組む際にポジティブな影響を及ぼすことが指摘されてきたSEは,人生キャリア成熟性とは全く関連せず,就職活動を考えた際の気分に対してポジティブな影響を及ぼすのみであり,SEは非現実的なポジティブさを反映している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,最初の2年間でコヒアレンス感覚(以下,SOC)が①就職活動中の健康維持,②その後のキャリア構築を見据えた就職活動への取り組み方,③後の成長に及ぼす影響について縦断的に検討し,最終年度に,その結果を元にSOC理論を利用した介入プログラムを開発することである。 2012年度は,縦断的調査を行う上で重要な調査対象者を確保するとともに,予定通り,第1回目の調査を行った。また,最終年度の介入研究に向けて,情報収集等を目的として研修へも積極的に参加した。 以上から,本研究は,現在までおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
第1回目の調査で調査協力の得られた大学生を対象に,2013年5月~6月頃に,第2回目の調査を実施する予定である。調査内容については,研究計画を若干変更し,この時点での成長感等についても調査することで,その推移を検討する。その後,2014年2月~3月頃に,第3回目の調査を予定している。第1回目から3回目の調査データすべてを使用して分析を行う。 2014年10月~12月には,就職活動前の大学2~3年生20名程度を対象として,SOC理論を応用した介入プログラムの開発と効果の検証を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画については,以下の通りである。 国内学会などにおける研究成果発表(1名・2日間×2回)100,000円,国際学会などにおける研究成果発表(1名・6日間)300,000円,Web調査作成・データ解析等の研究補助(5時間×5日)20,000円,研究対象者への謝礼(150名)30,000円,Webアンケート作成ソフト年間使用料10,000円,通信運搬費20,000円,研究資料費20000円。
|