2013 Fiscal Year Research-status Report
就職活動におけるコヒアランス感覚の機能に関する縦断的研究および介入効果の検討
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24730589
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤里 紘子 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50610333)
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Keywords | コヒアレンス感覚 / 就職活動 |
Research Abstract |
全3回のweb調査のうち,2013年5~6月に2回目の調査を,2014年2~3月に3回目の調査を行った。 コヒアレンス感覚(以下,SOC)とセルフエフィカシー(以下,SE)が就職活動(以下,就活)中の健康維持に及ぼす影響について検討するために,2回目の調査で就活中だった77名を対象に就活前のSOCとSEが就活中のストレス反応に及ぼす影響についてパス解析を行った。その結果,SOCがストレス反応のすべての下位尺度を低減していたのに対し,SEは抑うつ・不安のみを低減することが示された。 次に,SOCとSEが就活プロセスに及ぼす影響について検討するため,2回目の調査で就活を経験していた87名を対象に,就活前のSOCとSEが就活意識時の気分状態や就活の捉え方,就活がうまくいかなかった時の対処法,就活満足感と就活が人生に与える影響の評価に及ぼす影響についてパス解析を行った。その結果,SOCは直接的に就活満足感を高めるだけでなく,SOCが強いほど就活を意識した際のネガティブな気分状態が抑制されることで,就活がうまくいかない時にも肯定的に解釈したり,責任転嫁せずに取り組むことができ,結果的に就活満足感や就活が人生にプラスの影響を及ぼすという評価が促進されることが示された。一方,SEは直接的に就活が人生にプラスの影響を及ぼすという評価を促進するものの,間接的にはマイナスの影響を及ぼすという評価を促進する面もあることが明らかになった。 最後に,就活前のSOCとSEが就活を通した成長感に及ぼす影響について検討するために,3回目の調査で就活を経験していた113名を対象にパス解析を行った。その結果,就活中の群,内定をもらい終了した群,進路変更した群によってSOCとSEが成長感に及ぼす影響は異なるものの,SOCはどの群でも概ね成長感を促進し,SEは進路変更した群では成長感を抑制することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の1つの目的は,最初の2年間でコヒアレンス感覚(以下,SOC)が①就職活動中の健康維持,②その後のキャリア構築を見据えた就職活動への取り組み方,③後の成長に及ぼす影響について縦断的に検討することであった。 2013年度は,予定通り第2回,第3回の調査を行い,全3回の調査を終了した。また,調査結果を踏まえ,2014年度に向けて準備を進めている。 以上から,本研究は,現在までおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度までに全3回のweb調査のデータが得られたため,今後は,すべてのデータを使用して詳細な分析を行い,国内学会および国際学会等でその成果の発表を行う予定である。 また,当初の予定では,2014年度には,SOC理論を応用した介入プログラムを開発することとしていた。しかし,全3回の調査を通して,SOCがその後のキャリア構築を見据えた就職活動への取り組み方に及ぼす影響と,後の成長に及ぼす影響について明らかにするという本研究の目的を達成するためには,就職後の追跡調査が欠かせないという課題が出てきた。したがって,2014年度は当初の計画を変更し,就職後の追跡調査を行うこととする。対象者は,これまでのweb調査への協力者のうち,就職後の調査への協力意思を示した者である。調査にあたっては,筑波大学人間系研究倫理委員会の承認を得て,調査協力者に不利益が生じないよう留意する。
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