2014 Fiscal Year Annual Research Report
就職活動におけるコヒアランス感覚の機能に関する縦断的研究および介入効果の検討
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24730589
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤里 紘子 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50610333)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コヒアランス感覚 / 就職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初,コヒアランス感覚(以下,SOC)を高めるための介入方法の開発に着手する予定であった。しかし,これまでの調査を通して,SOCが就職活動への取り組み方に及ぼす影響を,その後のキャリア構築まで踏まえた長期的な視点から検証するという当初の目的を達成するためには,就職後の追跡調査を行う必要があるという課題が出てきた。そのため,3回目のweb調査に参加した対象者のうち追跡調査に同意した者を対象に,大学卒業後約1年が経過した2015年2~3月に4回目のweb調査を実施した。 4回目の調査に回答した67名のうち、1回目の調査(2012年7~8月)にも回答しており、当初から進学や公務員等への進路変更を行っておらず、かつ4回目の調査時に働いていた52名を分析対象とした。1時点目のSOCとセルフエフィカシー(以下,SE)が就職満足感に及ぼす影響について検討するためにパス解析を行ったところ,1時点目のSOCは,職務満足感の下位因子である職務内容,職場環境,給与,人間関係に対する満足感をすべて促進することが示された。一方,1時点目のSEは,就職満足感のいずれの下位因子にも影響を及ぼさないことが明らかとなった。また,1時点目のSOCとSEが4時点目のストレス反応に及ぼす影響についてパス解析を行ったところ,1時点目のストレス反応を統制した場合でも,1時点目のSOCは4時点目のストレス反応を抑制すること,SEは影響を及ぼさないことが示された。 以上の結果から,就職活動前のSOCは,就職活動中の健康維持や成長を促進するだけではなく,就職した後の仕事に対する満足感を高めストレスを低減することが明らかとなり,就職後のキャリア構築にもポジティブな影響を及ぼすことが示唆された。したがって,就職指導では,内定先の獲得を重視するのはもちろんのことであるが,学生のSOCを高めるような指導を行っていくことも重要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)