2016 Fiscal Year Annual Research Report
The development of a cognitive prevention program for social anxiety disorder
Project/Area Number |
24730590
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
笹川 智子 目白大学, 人間学部, 専任講師 (20454077)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社交不安症 / 対人不安 / 対人恐怖 / 注意訓練 / ドットプローブ課題 / 表情刺激 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,他者とうまくかかわることが困難であるために,学業や職務に支障をきたす若年層の問題が深刻化している。本研究では,人前での不安や緊張を主訴とする社交不安症に対して,ネガティブな刺激に過剰な意識を向ける認知的傾向を改善するための注意訓練プログラムを実施し,疾患の予防効果を検証することを目的としている。 首都圏の私立大学に通う学生34名(男性8名,女性26名,平均年齢19.94±0.65歳)を対象に,パソコンで表情刺激を用いたドットプローブ課題を実施した。対象者は介入群と統制群にランダムに割り付けられた。表情刺激にはネガティブ表情とニュートラル表情があり,介入群ではニュートラル表情にプローブが100%随伴する条件で,統制群ではプローブの随伴率が50%になる条件で,それぞれ週1回,計8回の訓練を実施した。1回あたりの試行数は180回で,実験にかかる時間は前後の説明も含めて10分程度であった。 プログラムの効果は,Fear of Negative Evaluation Scale(FNE)短縮版,Social Phobia Scale(SPS),およびSocial Interaction Anxiety Scale(SIAS)を用いて測定した。分析の結果,群と時期の交互作用が有意な水準に達したのはFNEのみであり,介入群において,ベースライン時から訓練直後,およびフォローアップの得点に不安得点の減少が見られた。同様の傾向はSIASでも見られたものの,群と時期の交互作用は有意水準にとどまった。SPSについては,時期の主効果が有意であり,介入群・統制群ともにプログラムの実施前後で得点に減少がみられた。これらのことから,本研究で開発したプログラムは社交不安の中でも,他者からの否定的な評価に対する恐れや,対人交流場面における不安の低減に効果的であることが示された。
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