2013 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症を対象とした認知機能改善療法の生物学的作用機序の解明
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24730591
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
中坪 太久郎 淑徳大学, 社会学部, 講師 (90456377)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能障害 |
Research Abstract |
昨年度,統合失調症を対象とした認知機能改善療法の効果の検証に必要な課題と評価項目等の準備に加えて,介入の実施を行った。それを受けて,当該年度においても引き続き認知機能改善療法の効果の検証を行った。具体的には,統合失調症の患者群を対象として,認知機能改善療法を実施し,精神症状,社会機能,神経心理学的検査を用いて評価を行った。これまでの検討の結果からは,特に,記憶機能と実行機能においては,認知機能改善療法の顕著な効果が確認された。一方で,注意機能については,それほど大きな改善がみられていないことから,介入の道具や頻度について修正を行う必要があるとの示唆が得られている。これらの研究成果については,論文および学会等にて発表を行っている。 また,同様の神経心理学的検査バッテリーを用いたときの,介入をしていない統合失調症患者群および健常群のデータも集まりつつあるため,今後はこれらとの比較からより有用な結果が得られると考えられる。加えて,fMRI (functional magnetic resonance imaging)による,認知機能改善療法の効果の検証についても実施中である。現在のところ,統合失調症患者の介入前後についてのデータおよび健常群のデータを採取しており,今年度はそれらの比較から,認知機能改善療法の効果に関する生物学的知見についても検証を行っていく。 これらの研究成果によって,精神症状等が落ち着いた後には社会での生活が中心となりつつある統合失調症患者について,社会生活機能やQOLの向上を支える認知機能の改善の方法について,より有効な介入手法として整備を行うことが可能となり,精神障害を対象とした臨床心理学的支援の発展に意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究実施計画においては,統合失調症患者群の認知機能障害を対象として,認知機能改善療法を実施し,その効果について検討を行うことであった。そのため,介入研究への参加が可能な患者を継続的に募集し,同意が得られた患者から順次認知機能改善療法の実施を行い,その前後において評価を行った。 精神症状,社会機能,神経心理学的検査バッテリーによる評価については,当初の計画通り順調に行われているが,fMRIによる評価については,当初の予定からやや遅れており,今後も継続して参加者の募集等を行っていく必要がある。そのため,やや遅れているとの判断を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については,当初の計画通り,12週の認知機能改善療法プログラムの実施と,その前後での精神症状,社会機能,神経心理学的検査バッテリー,fMRIによる効果の検証を行っていく予定である。平成24,25年度までの成果から,参加者の募集と介入プログラムの実施の流れについて,医師,看護師,ソーシャルワーカー等との連携のもとで進めていく手順が確立されつつあるため,平成26年度はこれまでよりスムーズに,一連のプログラム実施が行える予定である。 特に平成26年度においては,参加者の募集とプログラムの遂行を継続して行っていくことに加えて,効果の検証結果に基づいたプログラムの修正等についても検討を行う。また,それらの成果についは,論文および学会等にて随時報告を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は概ね計画通りの使用ができたものの,平成24年度の時点で研究の準備と遂行に時間を掛けたこともあり,国内外での研究発表や資料の収集,データの整理と分析のための人件費・謝金について当初の計画通りの遂行ができたかった。そのため,その分の未使用額が次年度使用額として残っている。 これまでの研究の実施においてデータが蓄積されているため,次年度においてはデータの整理と分析を中心的に行っていく予定である。そのため,人件費・謝金に次年度使用額を使用する予定である。また,得られた成果について,国内外の学会等での発表に加えて,海外の研究者とのディスカッション等も行う予定であることから,旅費等に使用をする予定である。
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