2018 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療に対する患者の意識と心理的ストレスに関する臨床心理学的研究
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24730595
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
田辺 記子 (安藤記子) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 遺伝カウンセラー (30586376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 個別化医療 / 医療心理学 / 遺伝カウンセリング / ゲノム医療 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がんゲノム医療は、個別化医療を目的として、近く保険診療としての実施が期待されている。国立がん研究センター中央病院のTOP-GEARプロジェクト「NCCオンコパネルを用いたがん遺伝子プロファイリング研究」第2期では、Matched-Pair解析を採用しており生殖細胞系列病的バリアントの特定が可能である。本年度は、当該プロジェクト第2期における生殖細胞系列病的バリアント検出症例の特徴および転帰から、二次的所見(生殖細胞系列の病的バリアントの検出)が認められた人における心理的影響を調査する事を目的とし、カルテ調査研究を中心に実施した。 2016年5月から2018年3月までに「NCCオンコパネルを用いたがん遺伝子プロファイリング研究」参加に同意し、生殖細胞系列に病的バリアントが検出された患者を対象とし、診療録より抽出した情報について集計および解析を行った。遺伝子解析結果が主治医に報告されたのは556名であり、そのうち13個の遺伝性腫瘍責任遺伝子に病的バリアントを認めたのは20名(3.6%)であった。小児(生殖細胞系列バリアント開示対象外)を除く19症例中、遺伝相談外来を受診したのは10症例であった。遺伝相談外来を受診のない9症例の未受診理由として、「検査結果報告前の本人死亡・体調悪化」「検査目的のみの当院受診/紹介元遺伝外来受診推奨」「遺伝相談外来未受診を選択」が抽出された。遺伝相談外来を受診しないことを選択する事由として、今はこれ以上のことを考えたくないとする心理的な負荷が存在することも示唆された。 本研究は、今後ますます盛んとなる個別化医療を受ける患者、特にゲノム医療を受ける患者の心理的支援を考える一助となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年3月19日~2016年4月30日の期間、本研究は中断されていた。また、2016年4月より研究代表者の所属が国立がん研究センター中央病院に移動となっている。 近年、がんゲノム医療領域は著しく進展しており、研究中断の3年間にも本領域を取り巻く状況は大きく変化した。そこで、臨床現場を取り巻く環境の変化に対応した研究計画を立案する必要があり、その方が望ましいと考えた。 昨年度立案した新たな研究計画に従い、研究を遂行しているところである。2018年度において、具体的には、関係者間での打合せを行い、研究を開始し、データ収集およびデータ解析を実施した。本年度は研究成果の発表を精力的に実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「がんゲノム医療における生殖細胞系列二次的所見に対する患者の意識」に関して調査を実施したところである。具体的には、当院におけるがんゲノム医療を受療した患者で生殖細胞系列の二次的所見が判明した患者を対象とした調査を行った。 本年度は調査データは量的および質的に分析を実施し、がんゲノム医療に対する患者のへの心理的特徴・影響、患者の意識等についてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
(1)2016年4月30日まで研究中断、2016年5月1日より研究再開となった。(2)研究代表者の所属機関異動(北里大学→国立がん研究センター中央病院)に伴い、旧所属での研究計画実施が困難となった。(3)臨床現場を取り巻く環境の変化に対応した研究計画を立案する必要があり、その方が望ましいと考え、研究計画を新規立案した(2018年度の成果発表に至っていない)。 以上(1)~(3)により、研究成果の報告(論文の作成、論文報告、学術集会での報告)に遅延が生じており、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 2019年度は、統計解析ソフトの購入により「物品費」、研究領域関連学会が開催する大会・学術集会への積極的参加により「旅費」「その他[大会・学術集会参加費用等]」、学術論文への報告を行うことにより「その他[英文校正費用等]」、のそれぞれを助成金より支出する予定である。
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Research Products
(1 results)