2012 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム児・者とその保護者を対象とした自己理解プログラムの開発
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24730600
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉橋 由香 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (30436977)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 自己理解 / グループワーク |
Research Abstract |
平成24年度は、小学校4年生から6年生の自閉症スペクトラム児および定型発達児対象に、多サンプルアンケート調査を実施した。具体的に用いた尺度は、自己を理解する際に重要となる「自己意識」と「自尊感情」に関する尺度、そして社会適応上重要となる「ストレスコーピング」と「社会的スキル」に関する尺度であった。収集したデータから、それぞれの発達的変化と相互関係について分析を始め、調査結果のプログラム内容への反映およびアンケートのアセスメントツールとしての活用について検討を進めている。 また、地域・医療機関における児童期の自閉症スペクトラム児とその保護者をを対象とした自己理解プログラムを計画し、実施した。地域支援については、NPO法人子育て支援を考える会TOKOTOKOの協力を得て、夏休みを利用した支援事業として行われた。プログラムは、小人数のグループワーク形式で、全8回実施した。教材として、独自に作成したワークブックを用いた。医療機関についても、集団療法のスペースを持つクリニックにて、地域支援と同様の形式のプログラムを実施した。 プログラム終了後には、参加者を対象に、アンケート調査とフォローアップ面接を行い、自閉症スペクトラム児とその保護者に対し、自己理解プログラムを行うことの有効性と課題について検討を始めた。 さらに、支援の場や対象による効果の相違や課題、実施方法のあり方についても検討を行うため、それぞれ専門的知識を有した関係者からの意見聴取なども行い、次年度以降の取り組みに向けた準備も始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた①アンケート調査の作成と実施およびデータの処理、②地域資源を活用した自己理解プログラムの開発と実施および効果測定、③医療機関での自己理解プログラムの開発と実施および効果測定を開始することができた。また、それぞれの実施の意義が参加者および関係者に認知され、次年度以降も地域・医療機関でのプログラム実施とその検討を継続することが決定しており、次の研究段階へつなげる準備ができたと考えられる。 ただし、予定していた小学校高学年から青年期の自閉症スペクトラム障害者とその保護者を対象としたインタビュー調査の進行が滞っている。より洗練されたプログラムを構築していくためにも、質的な研究も重要となるため、次年度以降の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
①成果の発表とプログラム内容の充実:平成24年度に実施した多サンプルアンケート調査による基礎的研究について、より詳細にわたるデータ解析を行う。また、地域・医療機関での自己理解プログラムの実施継続と効果の測定を行い、その結果を分析し、多サンプルアンケート調査の結果も踏まえ、改良を重ねる。それぞれ、研究成果を順次発表していく予定である。また新しく、思春期・青年期を対象とした自己理解プログラムの内容の検討も行う。 ②教育機関における自己理解プログラムの開発:自閉症スペクトラム児・者の支援の場として重要な教育機関において、平成19年度から特別支援教育がスタートし、個々の支援ニーズに合わせた教育が行われるようになった。こうした流れの中で、例えば、小中学校における通級指導、教育センターでの心理教育、適応指導教育での指導などが、自己理解に関する支援を実施できるであろう場や時間として考えられる。よって、それぞれの機関で、今回開発されるプログラムが、どのように導入されることで、当事者への支援として有効なものとなるか、その可能性を探索的に検討する。 ③自閉症スペクトラム児・者とその保護者を対象とした自己理解に関する実態調査:小学校高学年から青年期の自閉症スペクトラム児・者とその保護者を対象にインタビューを実施し、その自己理解やセルフモニタリングの在り方について、質的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費については、平成24年度は、プログラム参加者のアセスメントに必要な検査道具他、プログラムで使用する教材開発および作成のための機材や消耗品費用、プログラム実施のスタッフの謝金や交通費、アンケート調査データ入力補助スタッフの謝金、調査研究旅費などとして使用された。しかし、予定していた研究費を一部繰り越すこととなった。よって、繰り越した分は次年度以降の研究費に加算して使用することとし、平成25年度は、平成24年度同様にプログラム実施に必要な検査用紙や教材開発・作成にまつわる費用、プログラムのスタッフの謝金や交通費、アンケート調査データ入力補助スタッフの謝金、調査研究旅費に加え、平成24年度に実施できなかったインタビュー調査実施のための人件費・雑費、プログラムの改良および成果をまとめるための文献・図書購入費と専門的知識の提供を求めることにまつわる費用、研究成果発表のための旅費費用等として研究費を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)