2013 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム児・者とその保護者を対象とした自己理解プログラムの開発
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24730600
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉橋 由香 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (30436977)
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 自己理解 / グループワーク / セルフモニタリング |
Research Abstract |
①小学校4年生から6年生の定型発達児対象に、多サンプルアンケート調査を実施し、検討をした。具体的に用いた尺度は、昨年度に引き続き、自己を理解する際に重要となる「自己意識」と「自尊感情」に関する尺度、そして社会適応上重要となる「社会的スキル」に関する尺度、そして平成25年度新たに作成を試みた「セルフモニタリング」に関する尺度であった。特に、セルフモニタリングに関する尺度は、実践プロクラムの効果測定、および参加者のアセスメントに活用することを目的としている尺度であり、これを作成したことは今年度の重要な成果と言える。セルフモニタリング尺度とその他の尺度との関連については、現在分析中である。 ②地域における児童期を対象とした自己理解プログラムとして、セルフモニタリングに焦点を当てたプログラムを開発し、実施した。地域支援について、昨年度に引き続きNPO法人子育て支援を考える会TOKOTOKOの協力を得て、夏休みを利用した支援事業として、小中学校に通う発達障害およびグレーゾーンの児童とその保護者を対象とした5回のセッションのプログラムを実施した。昨年度実施した自己理解プログラムと同様の小人数のグループワーク形式で実施し、教材としてワークブックを用いた。プログラム参加者には、事前のアセスメントとアンケート調査、フォローアップ面接を行った。効果の検討、プログラム内容の妥当性については、現在検討中である。 ③医療機関において、集団療法のスペースを持つクリニックにて、昨年度から引き続き、自己理解プログラムを実施した。実施スパンを昨年度と変更し、実施形式について現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査においては、新たな尺度の開発を開始することができた。プログラムの実施についても、改良と新たな内容の作成および実施をすることができた。ただし、当事者および保護者を対象としたインタビュー調査(実態調査)については、平成25年度、調査協力機関との打ち合わせまでで留まっており、実施が実現されていないため、次年度以降、実施について具体化していきたいと考えている。また、成果の発表について、準備等が遅れ、平成25年度に実施できなかったため、今後、積極的に行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
①実践プログラムとアンケート調査の成果の発表と内容の充実:平成25年度に作成したセルフモニタリングに関する尺度について、有用性を持たせるため、さらに項目の分析と実施方法についての検討を重ねる。セルフモニタリングに焦点を当てたプログラムの内容については、引き続き実施して検討を重ね、また、専門家の意見を聴取して、改良を重ねていく。いずれも、現時点までの成果の発表を計画し、より広い視点から検討が行えるように準備する。 ②教育機関における自己理解プログラムの開発とアンケートの活用の検討:平成25年度は、アンケートを学校内で活用する方法について、実際に学校へ結果をフィードバックする形をとり、検討をした。今後は、アンケートの活用とともに、プログラムの実施可能性について、現場教員の意見を聴取しながら検討する。 ③自閉症スペクトラム児・者とその保護者を対象とした自己理解に関する実態調査:小学校高学年から青年期の自閉症スペクトラム児・者とその保護者インタビューを実施予定であったが、実現させることができなかった。ただし、平成25年度には、青年期の自閉症スペクトラム者に対する調査について、NPO法人アスペ・エルデの会との打ち合わせを開始しているため、実施に向けて準備を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
体調不良により、研究が計画通りに進まなかった。特に、当事者を対象とした個別のインタビュー調査(実態調査)が実施できておらず、また成果の発表も遅れてしまったため、予算が当初の予定通りに執行されなかった。 予算使用については、平成25年度は、プログラムで使用する教材開発および作成のための機材や消耗品費用、プログラム実施のスタッフの謝金、データ分析用PC購入費用、調査データ入力補助スタッフの謝金、調査研究旅費などとして使用された。平成26年度は研究を中断するため、平成27年度以降、平成25年度までと同様にプログラム実施に必要な検査用紙や教材開発・作成にまつわる費用、プログラムのスタッフの謝金や交通費、調査データ入力補助スタッフの謝金、調査研究旅費に加え、結果の整理のための分析ソフト購入、成果をまとめるための文献・図書購入費、専門的知識の提供を求めることにまつわる費用、研究成果発表のための旅費他費用として予算を使用する計画である。
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