2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730607
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 由己 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 研究員 (50551777)
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Keywords | 個人差 / 健康リスク / 社会系心理学 |
Research Abstract |
喫煙、飲酒、肥満などの健康リスクテイキング行動を防止・抑制することは、健康長寿社会の構築に資する重要な課題である。本研究は、健康リスクテイキング行動のメカニズムを解明するために、刺激希求、自己制御能力、社会規範が健康リスクテイキング行動に与える影響ならびにそれらの相互関係の解明をめざしている。 平成25年度は、幅広い年代を対象に、健康リスクテイキング行動に伴う健康リスクの認知について、自己制御能力、刺激希求、社会規範の相互関係を捉えた健康リスクテイキング行動のメカニズムの解明を試みた。具体的には、年齢や性別などの基本属性、健康リスクテイキング行動の種類によるメカニズムの差異について明らかにすることを試みた。平成24年度に行った、刺激希求、自己制御能力、社会規範が青年の飲酒に与える影響を検討した調査について追加調査を行い、データ数を増加させた検討を行った。その結果、刺激希求、自己制御能力、社会規範が青年期の飲酒に与える影響は男女で異なることが明らかになった。この結果は、健康リスクテイキング行動の防止・抑制のためのプログラムを開発するうえで性差を踏まえた検討が必要であることを示しており、非常に有意義な結果といえる。平成25年度は、これらの結果を国際学会において学会発表、ならびに審査論文として発表し、研究成果を社会に還元することに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、自己制御能力、刺激希求、社会規範の相互関係を捉えた健康リスクテイキング行動のメカニズムについて、年齢や性別などの基本属性、健康リスクテイキング行動の種類によるメカニズムの差異について明らかにすることを試みた。未成年者に対する飲酒や喫煙の調査では、調査が匿名であっても、それらの行為が法律違反であることを理由に実施が断られるケースがいくつかあった。しかしながら、予定よりも多くの調査参加者を得ることができたため、当初の計画どおりに研究は遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に調査を行った参加者を対象に2回目の調査を実施し、健康リスクテイキング行動のメカニズムの縦断的変化を検討することを予定している。特に、19歳から20歳への変化群(実験群)とその他の年齢における変化群(統制群)を用いた純実験デザインによる研究を行うことを予定している。 平成25年度の調査では、喫煙や飲酒など未成年者にとっては法律違反となるリスクテイキング行動について調査協力を得ることの困難さがあること、また、調査項目の多さが参加者の負担を大きくしていることが問題として明らかになった。これらの問題について、平成26年度では、事前に調査目的と調査では匿名性が担保されていることを十分に説明して協力者を得る工夫をすること、ならびに、刺激希求等について簡便な尺度を用いることで、参加者の負担を軽減した調査を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
投稿論文の準備が遅れ、年度内に英文校閲に関する予算を執行することができなかった。 投稿論文は現時点でほぼ完成しており、平成26年度において英文校閲等に関する予算を執行する予定である。
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