2013 Fiscal Year Research-status Report
小学校入学に伴う子どもの学校適応についてのアセスメント研究
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24730609
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大対 香奈子 近畿大学, 社会学部, 講師 (80509927)
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Keywords | 学校適応 / 心理アセスメント / 就学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小学校入学後に学校適応に困難を示す「小1プロブレム」と称される社会問題を予防すべく、小学校就学時の学校適応に関わる要因を明らかにする実証的なアセスメント研究を行うことであった。 小学校入学に伴う環境変化は子どもにとって非常に大きく、就学時は不登校などの学校不適応を起こすリスクが高い時期だと言える。これは、東京都教育委員会が平成22年度に実施した調査により都内の小学校1308校のうち、小1プロブレムと呼ばれる状態が報告された学校は18.2%におよび、発生時期が4~5月に集中していると報告されていることからも、裏付けられている。また、小1プロブレムが起きた学校のうち、56.7%は11月時点でも収まっていないと回答していたことから、一度不適応の問題が生じると解決は難しく、その後長期的な不適応の状態に陥る可能性が高いことが示唆されている。したがって、小学校入学に伴う学校不適応を予防することは、その後の継続しうる長期にわたる不登校等の学校不適応の予防にもつながるという意味で、非常に重要な課題である。 小1プロブレムは社会的な問題としても非常に大きな注目を集めており、政策としての対応は進められつつあるが、小1プロブレムの実態や小学校入学時の不適応に関わる要因についてはまだ十分な研究が行われていないのが現状である(森岡・岩元, 2011)。本研究では、行動分析学の視点から小学校入学時の不適応に関わる個人要因と環境要因を同定することを平成24年度に計画し、自治体で行われた調査結果および先行研究の資料などをもとに要因の項目を挙げる作業を行ってきた。また、平成25年度にはその項目を整理し、チェックリストの原案を作成する作業に従事してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度は途中、出産のために研究が中断したこともあり、自治体での調査資料や関連する先行研究の資料収集までしか進められなかった。平成25年度は収集した資料をもとに、小1プロブレムの実態把握や学校不適応に関わる個人要因、環境要因を同定するためのチェックリストの原案の作成作業を行ってきた。当初はチェックリストの原案を幼稚園や保育所の年長児を担当する教員、ならびに小学校1年生を担任している教員に、項目の妥当性を評価してもらう予定にしていたが、チェックリストがまだ完成にまで至っていないため、妥当性の評価までは作業を進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、本研究の目的として以下の2点を挙げていた。目的1は就学時の学校適応に関わる子どもの行動特徴を含む個人要因および、幼稚園・保育所と小学校との環境の違いに注目し、学校適応に関わる環境要因を明らかにすることであった。目的2は、就学時の学校適応に関わる要因についてのチェックリストを作成し、就学前の子どもに対する予防的介入や就学後の適応促進を目指した介入に役立てられるか検討することであった。 特に目的2を達成するための方法として、実際に就学前の幼児に対してチェックリストの原案を実施し、就学後に追跡を行って適応状態の確認を行うとともに、チェックリストの有効性を検討することを計画していたが、そのような事例検討を行うことは時間的な制約上困難であると判断したため、平成25年度に向けてはチェックリストの原案を幼稚園・保育所の教員と小学校教員に評定してもらい妥当性を検討するよう計画を一部変更した。 その後、平成25年度後半に研究フィールドを開拓し、発達障害児の療育施設との連携が進められたため、原案のチェックリストを就学前ならびに小学校1年生の発達障害の子どもを持つ保護者に依頼して評定を行ってもらい、実際の適応状況とチェックリストの結果から妥当性の評価を行うことを進めている。また、修正後の計画のように、幼稚園・保育所の教員と小学校1年生の担任教員への調査の依頼も計画通りに進める予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成24年度に産休で一時研究を中断していたことの影響もあり、研究フィールドを確保することに予想以上の時間を要した。そのため、予定していた幼稚園や保育所、小学校という現場に出向いたデータ収集等の作業がほとんど進められず、旅費や人件費等に計上していた予算は全く未使用に終わった。 平成26年度は、チェックリスト原案の妥当性の評価を中心に行っていく予定であるため、小学校や幼稚園、保育所への依頼のために現場へ出向く必要がある。また、可能であればその場で子どもの様子も観察させていただき、研究者自身も数名の子どもについてチェックリストを使った評定を行ってみることや、その他の行動面や環境面の観察を行うことも考えているため、現地に出向く出張費を計上する計画である。また、作成したチェックリストを印刷し配布するための印刷費、研究成果を発表・公開するための学会参加費、またチェックリストはホームページの中で公開し、教育現場での使用を可能にすることや利用した人からのフィードバックを作成するための費用、その他観察データなどの分析のための人件費も計上する計画である。
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