2013 Fiscal Year Research-status Report
汚染恐怖に対するイメージ曝露療法発展にむけた認知神経学的メカニズムの解明
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24730611
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
岩佐 和典 就実大学, 教育学部, 講師 (00610031)
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Keywords | 触覚イメージ / 嫌悪 / 汚染恐怖 / 感情 / 神経基盤 |
Research Abstract |
25年度の研究実績は以下のとおりである。1.嫌悪感受性の測定法に関する調査を完了させた。2.質問紙法を用いたアナログ研究による仮説モデルの検証を行った。3.fMRI実験のデザインを検討し,その実施体制を整えた。 まず,嫌悪感受性の測定法については,改訂嫌悪尺度(DS-R)と改訂嫌悪傾向・感受性尺度(DPSS-R)の日本語版を作成し,その心理測定的な特性を検証した。DS-Rについては,一般大学生や一般の地域住民823名を分析対象に,まずその因子構造を確認した。その結果,数項目が除外されたものの,原尺度と同様の因子が抽出された。DPSS-Rについても,一般大学生や一般の地域住民991名を分析対象に,因子構造を確認した。その結果,原尺度の因子構造が支持された。なお,両尺度の因子構造は,インターネットを用いた大規模調査によって再現された。両尺度とも良好な再検査信頼性と内的整合性を有し,特性不安,不安感受性,強迫性障害の諸症状,感情状態等との相関関係から,構成概念妥当性が支持された。これらの尺度が開発されたことは,本研究課題の進行だけでなく,日本における嫌悪研究を推進する大きな後押しとなるだろう。 アナログ研究にモデル検証では,当初設定した仮説どおりの結果とはならず,モデルに若干の修正を加える必要があった。一般大学生や一般の地域住民390名を分析対象として,構造方程式モデリングによるパス解析を行った結果,修正後のモデルは極めて高い適合度を示すことがわかった。この結果から,汚染恐怖者に対する触覚イメージに焦点化したイメージ曝露療法を発展させるための基礎的な知見が得られた。 修正されたモデルの神経基盤を検証するfMRI実験を行うために,実験デザインの精緻化を図るとともに,測定方法の習熟や,実験環境の整備を行った。これにより26年度は速やかに実験を行うことが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね着実に進行しているものの,実験器具の操作方法や,実験施設の環境整備など,当初想定した以上の準備を要することがわかったため,計画を約3ヶ月程度遅らせて進行している。具体的には,25年度中に行うはずだった実験参加者の募集,予備実験の実施を,26年度の前半に行うよう調整した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,まずは実験手続きを確定し,それを確実に実行できる体制を整えていく。実験施設が本所属からみてやや遠方に存在するため,効率よく研究を進行させられるよう,実験助手に実験準備等を依頼することを計画している。具体的には8月頃までに体制を整え,実験手続きを確定させる。それに平行して実験参加者の募集を行い,9月から実験を実施する。1月には実験が終了できるよう実験のスケジュールを立て,26年度中に研究成果を論文化し,投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度しよう額は6,422円だった。比較的少額であり,年度末に合わせて,不要な用途のために無理やり執行するよりも,次年度に繰り越して有効に用いるのが適正ではないかと考えた。 比較的少額のため,独立した用途を想定することは難しいため,物品費や旅費に組み込んで執行していく。
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