2012 Fiscal Year Research-status Report
社会的文脈の中でやり取りされる金銭的な報酬や罰が記憶に与える影響とその神経基盤
Project/Area Number |
24730617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重宗 弥生 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (70547273)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 報酬 / 罰 / 記憶 / 脳機能イメージング / 認知神経科学 / fMRI |
Research Abstract |
社会的存在である人間は、他者との様々なやり取りの中で人間関係を記憶・学習していく。本研究の目的は、人間関係における報酬や罰のやり取りがその相手の記憶に与える影響の脳内機構を機能的磁気共鳴画像(fMRI)により検証することである。 当該年度では、1、金銭的な報酬や罰が文脈を伴う記憶に与える影響に関する神経基盤、2、思い出すのが困難な記憶に金銭的な報酬が与える影響に関する神経基盤、3、ストレスが金銭的な報酬による記憶促進効果に与える影響に関する神経基盤、4、自分に金銭的な報酬や罰を与えた相手の記憶に関する神経基盤、の4つの研究を進めた。1の研究では、金銭的な報酬や罰により文脈を伴うより詳細な記憶が促進され、そのような記憶の促進には報酬や罰に関連する領域である腹側被蓋野、線条体、島皮質と記憶に関連する領域である海馬の相互作用が重要であることが示された。2の研究では、思い出すのが困難な記憶の方が、思い出すのが簡単な記憶よりも金銭的な報酬によって促進され、そのような記憶促進効果は、報酬に関連する領域である腹側被蓋野と、認知制御に関連する領域である前補足運動野、記憶に関連する領域である海馬の相互作用によって起こることが示された。3の研究では、ストレスにより報酬の記憶促進効果が強められることが示され、fMRIデータについて解析を進めているところである。4の研究では、fMRI実験を行う前段階の予備実験を終え、fMRI実験に移行できるように準備を進めているところである。 これらの研究の内、1と2の研究で得られた成果は、日本神経科学学会や北米神経科学会などの国内外の学会で口頭発表に採択され、1の研究で得られた成果は神経科学領域で国際的に評価の高いCerebral Cortex 誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、本研究課題に関連する4つの研究を進め、その成果を国内外の学会や専門的な学術誌に発表することができた。そのため、研究はおおむね順調に進展しているといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2の研究については論文の執筆、3の研究についてはfMRIデータの解析、4の研究についてはfMRI実験を進める予定である。更に、5、自分が金銭的な報酬や罰を与えた相手の記憶に関する神経基盤の研究について予備実験の準備を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」は、前年度に購入を予定していたソフトウェアを購入しなかったために生じたものである。「次年度使用額」を合わせた次年度の研究費の最も主要な使用予定は予備実験・fMRI実験の実験参加者への謝金である。また、それ以外に、国内外の学会で研究成果を発表するための出張費や、論文の印刷費や別刷り購入費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)