2013 Fiscal Year Research-status Report
音の特徴による知覚的体制化とその相互作用の神経基盤に関する研究
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24730618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 健太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30435870)
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Keywords | 聴覚 / 知覚的体制化 / 音楽経験 / 脳磁図 |
Research Abstract |
平成25年度は、前年度に引き続いて周波数パターンによる音列の知覚的体制化が音列中の音の欠落知覚に与える影響について検討した。また、音楽経験がこの課題にどのような影響を与えるかの検討を加えた。実験では、3種類の高さの音を使って周波数パターンを繰り返す音列とランダムに提示する音列を作成し、それらの音列中にランダムに挿入される無音区間に対する脳活動を脳磁図で測定することで、周波数パターンによる知覚的体制化が音の欠落知覚に対してどのような影響を及ぼすのかを調べた。周波数パターンを繰り返す音列での欠落知覚の方が、ランダムな音列での欠落知覚よりも検出にかかる反応時間が短かった。また、欠落に伴う脳活動は聴覚野周辺を中心として生じ、ランダムな音列よりもパターンを繰り返す音列の方が大きな活動を示した。音楽経験者と非経験者との比較実験では、どちらも欠落に伴う脳活動が聴覚野周辺を中心として見られたが、経験者はより左半球優位な結果が見られた。この一連の実験に関しては複数の国内学会にて発表を行い、また海外雑誌への論文投稿を行った。 またこの実験を踏まえて、計画していた特徴による知覚的体制化の交互作用に関する予備実験を行い、実験パラメータの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、前年度の実験に被験者を加え、さらに音楽経験の効果を検討する事ができた。また学会でのポスターおよび口頭発表を行い、論文の投稿まで進む事ができた。fMRI設備の故障およびバージョンアップのためにfMRIを用いた研究を行う事ができなかったものの、これに関しては研究期間の延長を申請し、来年度の計画とした。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目においては、複数の特徴による知覚的体制化の交互作用についての実験を行う予定である。状況によってはfMRIを用いる実験の代わりに、脳磁図に加えて経頭蓋電気刺激(tDCS)など別の装置を用いた実験で検討を行う事も考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計画していたMRI実験が、MRI機器の故障および新規導入によりほぼ半年間利用不可能となったので、実験被験者の謝金および機器使用料、また学会発表にかかる旅費などに未使用額が発生した。 当初計画の実験を平成26年度に延期することとし、未使用額はその際の被験者謝金や機器使用料、および学会発表にかかる旅費などに充てることとする。
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