2013 Fiscal Year Research-status Report
注意配分の効率性における空間表象形成の役割:二次元特性と三次元特性の比較
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24730633
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
木村 貴彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 准教授 (80379221)
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Keywords | 注意 / 3次元空間 / 空間表象 |
Research Abstract |
本研究の目的は,実際空間内での注意メカニズムにおける空間表象の役割を明らかにし,より効率的な注意資源の配分について実験心理学的手法を用いて検討することである.ディスプレイを用いた従来研究とは異なり,実際空間では空間内に物体(刺激)が常に存在している.このように注意を向ける対象が常に存在する環境で効率的に注意を向けるためには空間表象の効果的な利用が不可欠である.本年度の研究の主眼は,①比較的大規模な実際空間における観察者動態での注意配分型の検討,②比較的小規模な実際空間における水平方向(二次元)と奥行き方向(三次元)での注意配分と表象形成についての検討を行うことであった. ①については,従来から研究代表者が用いてきた実験装置に対して刺激の調整など装置の改修を前年度に施した.さらに,刺激強度を統一するために単純反応時間が計測され,できるだけ統制された実験環境が構築され,観察者静態での結果を報告している.そこで,今年度は,主課題と同時に異なる奥行き位置に提示されるフランカーによるターゲット刺激に対する反応時間への干渉程度を注意が配分されている程度の指標とする課題を観察者動態で用いて検討した.その際,フランカーの形状として,ターゲットと整合する場合と非整合の場合があった.結果,観察者の視線上となる奥行き方向の異なる配置されたにも関わらずフランカーは妨害しないことを示しており,静態時と同様に二次元平面と3次元空間での空間的注意の配分様式に違いが見られる可能性を示唆した.②については,注意を向ける対象が常に存在するという点に注目し,暗環境下で物体の位置関係が把握しにくい状況を設定して実際空間内での実験装置を構築した.その上で,注意を配分する際の空間表象がどのように利用されるのかを明らかにするために,水平方向への刺激布置と奥行き方向への刺激布置で比較検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,実際空間における空間的注意の配分についての検討を行うことから,研究計画書の内容からさらに踏み込んだ観点として,比較的大規模な空間と比較的小規模な空間という二種類の規模の空間で実験を行うこととし,大規模空間で観察者動態での実験が実施された.動的環境下における空間表象と注意配分特性について検討が可能であり,昨年度の観察者静態での報告と比較することで有用な知見が得られると考えられる. また,当初の計画でも取り上げられた,空間表象形成と空間的注意の問題を扱うための実験装置が構築され,表象形成が難しいと考えられる暗環境での実験が実施され,データを収集されていることから,おおむね順調に進展しているものと判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であることから研究によって得られた知見をまとめていくことが必要である.また,特に②の比較的小規模な空間での実験についてはいくつかのバリエーションを設けることでより詳細に本研究で取り上げる問題を検討することが可能となると考えているため,ひきつづきデータを蓄積していくこととする. 得られた知見については,国内外での学会発表を積極的に実施するなどし,外部からの示唆や助言を得るとともに,必要となる専門的知識の提供を受けるなど効率的に研究を実施していくこととする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置構築時に既存の物品などを一部流用できたため. 実験装置構築と実験実施時の謝礼などで計画的に使用することとする.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Useful field of view in augmented reality: Comparison between distribution of attention under binocular and monocular observation.2013
Author(s)
Kitamura,A., Naito,H., Kimura,T., Shinohara,K. Sasaki,T., and Okumura,H.
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Journal Title
Proceedings of the international display workshops
Volume: 30
Pages: 1442-1445
Peer Reviewed
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