2012 Fiscal Year Research-status Report
ストレス状況下での動物の味・嗅覚刺激に関する学習形態について
Project/Area Number |
24730634
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
柾木 隆寿 関西学院大学, 文学部, 助手 (00580226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 学習 / 要素的処理 / 携帯的処理 / 味覚 / 嗅覚 / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的は、ストレス状況下の動物における、味覚・嗅覚刺激へ対する学習形態を検討することであった。平成24年度の実験では、味嗅覚の複合刺激に対して、被験体であるラットが要素的学習、あるいは形態的(統合的)学習を行うための実験手続きの確立を目指した。味覚刺激としてスクロース、嗅覚刺激としてフレーバーエッセンスを使用した風味選好条件づけ訓練とその消去訓練をラットに課し、刺激濃度、条件づけ・消去試行回数、ラットの動因状態等の各種パラメーターを操作した。その結果、比較的高濃度のスクロースを用い、条件づけ試行回数が多い場合には、空腹状態のラットでは要素的学習が、そして満腹状態のラットでは形態的学習が相対的に生じやすいことが示された。しかしながら、この結果は頑健な現象とは言えず、さらに詳細なパラメーターの追及、そして風味選好のテスト方法等も考慮する必要が生じた。これらの成果は国内外の学会で発表し、さらに実験を追加し、学習・知覚関連の専門誌への投稿を予定している。 また、ストレス処置として、近年その嫌悪的性質が明らかにされた運動処置(回転カゴ走行)に着目し、味覚刺激や嗅覚刺激へ運動処置が及ぼす影響について予備的な検討を加えた。嗅覚刺激に対しては、味覚刺激で示されているような明確な嫌悪性の条件づけは形成されなかったが、ラットの運動量について大きなばらつきが見られたため、さらなる実験を実施する必要がある。これらの成果についても学会での発表、および専門誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットが要素的学習、および形態的学習を示す実験手続きの確立に予想以上の実験数が必要となったため、目的の達成度はやや遅れていると自己評価を行った。動因操作と風味選好条件づけの消去訓練を用いた上記2つの学習形態の操作については、比較的新しい手法であり、その詳細な実験パラメーターは検討されていない。このため、当初スクロース以外の味覚刺激も使用し、現象の一般性を高める予定でいたが、その実現には及ばなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の実験では、前年度で得られた成果をもとに、ストレス状況下のラットの学習形態について検討していく。ストレッサーとしては,動物のストレス研究で典型的に用いられている,一定時間の電撃呈示や他個体との闘争(社会的ストレス)、そして運動処置などを予定している。得られた成果をもとに、既存の学習理論との妥当性や発展性などについて考察していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の実験では、動物の動因操作として食塩欠乏処置を実施する予定であったが、それ以前の実験手続きの確立に困難が生じ、その実現はできなかった。平成25年度の研究では、この処置の実施を予定しており、さらに得られた研究成果の公開を促進させるため、学会での研究発表を当初の目的より追加する予定である。
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