2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730641
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 由美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (20425739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 前頭前野 / アセチルコリン / 光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
学習や記憶、思考や推論など様々な高次脳機能に欠かせない前頭前野は、ドーパミンやアセチルコリンなど様々な神経調節物質の影響を受けている。本研究では前頭前野が、神経調節物質の影響をどのように受けているのかを、ミリ秒オーダーの時間解像度で明らかにすること、これらが前頭前野および関連する神経回路における情報処理にどのように影響するかを明らかにすることを目的とした。研究では主にアセチルコリンを分泌する前脳基底部マイネルト基底核に着目した。この領域に存在するアセチルコリン作動性神経は大脳皮質の広範囲に投射を行い、大脳皮質の働きを調節していることが知られている。これまでにアセチルコリンは、記憶や学習、覚醒や注意など様々な機能を修飾することが明らかになってきた。またアルツハイマー型認知症ではマイネルト基底核のアセチルコリン神経が脱落していることから、この部位は認知症などの記憶障害に密接に関わることが知られており、前脳基底部と前頭前野の神経連絡の特徴を明らかにすることは、これらの疾患の原因解明や治療法の開発にもつながる。本研究ではラットの前脳基底部マイネルト基底核を電気刺激し、前頭葉での応答を、時間・空間的な解像度の優れた膜電位イメージング法を用いて計測した。その結果マイネルト基底核の電気刺激により前頭葉の広範囲で脱分極性応答がみられ、アセチルコリン受容体拮抗薬によってこの応答は亢進した。以上のことから、前頭前野において、コリン作動性神経は抑制作用を担っている可能性が示唆された。
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