2015 Fiscal Year Annual Research Report
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24730642
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
柳井 修一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60469070)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 記憶 / 学習 / シロスタゾール / ドネペジル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はシロスタゾール(プレタール)とドネペジル(アリセプト)の併用がマウスの記憶・学習課題の遂行に及ぼす効果を検討することで、ヒト高齢者における抗認知症薬併用療法の基礎を確立することを目的とする。平成27年度は、老齢C57BL/6Jマウスを用いてシロスタゾールとドネペジルの併用が記憶、学習に及ぼす効果を検討した。22ヶ月齢の老齢C57BL/6Jマウスをシロスタゾール単独投与、ドネペジル単独投与、複合投与、統制群の4群に配分し、シロスタゾール(0, 0.3%)とドネペジル(0, 0.3mg/kg)の投与を1ヶ月間行った。23ヶ月齢でモリス水迷路課題を行ったところ、複合投与群では、他の老齢3群と比較してプローブテストの成績が有意に改善された。オープンフィールドと強制水泳課題では、活動量や不安様行動、鬱様行動に2剤併用の影響は認められなかった。 また、前年度までに行ったSAMマウスのシロスタゾール単独投与による記憶改善効果の神経基盤をより詳細に検討した。シロスタゾールを3ヶ月間投与したSAMマウスの脳サンプルを用い、各種抗体を用いた免疫染色および定量化を行った結果、海馬歯状回においてリン酸化CREB陽性細胞数がシロスタゾールの用量依存的に増加することが明らかになった。また、小動物用PETを用いた実験から、SAMではシロスタゾールの用量依存的にグルコースの取り込みが減少すること、さらにWestern blottingによるタンパク質定量から、SAMP8においてtight junctionタンパク質であるOccludinとZO-1がシロスタゾールの用量依存的に増加していることが明らかになった。この結果は、シロスタゾールが老化に伴う血管の脆弱性を改善していることを示している。 これらの研究成果をうけ、平成27年度に「軽度認知障害治療薬」としてシロスタゾールの治験が開始された。
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Research Products
(10 results)