2012 Fiscal Year Research-status Report
体育科における「教師のプロ意識」調査票の開発に関する実証的研究
Project/Area Number |
24730644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
厚東 芳樹 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (80515479)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小学校 / 体育授業 / 自己概念 / 専門技能 / 他者認知 |
Research Abstract |
本年度は,(1)プロ意識を構成する「自己概念」「専門技能」「他者認知」(トンプソン,1971)それぞれの要素を測定・評価する方法を作成すること,(2)小学校教師を対象に,先の「自己概念」をはじめとする3つの観点それぞれを測定・評価し,3つの評価結果の相関関係を検討することで,「教師のプロ意識」調査票を開発することを試みた。 すなわち,小学校教師とその同僚を対象に,本人へのインタビューから「自己概念」を,子どもの学習成果(パフォーマンス)から「専門技能」を,他教師の評価から「他者認知」を,それぞれ測定・評価した。このとき,「他者認知」について,すべての学校現場で実施を試みたが,調査対象校の先生方と相談・検討した結果,測定実施に困難な教師も存在した。また,学習成果(パフォーマンス)も測定の条件を統一する目的から,今年度は「水泳」教材に限定して実施した。 その結果,(i)「自己概念」「他者認知」の2つの観点は,いずれも5段階で評価可能であったこと,(ii)「他者認知」と「専門技能」に正の相関関係が認められたこと,(iii)「自己概念」「専門技能」「他者認知」のいずれも,経験年数や性差といったコンテキスト要因の影響は受けていないこと,をそれぞれ導出した。このとき,「自己概念」はいずれの観点とも相関関係は認められなかった。これには,事例数が少なかったこと,作成したインタビュー内容が理解しにくいものになっていたこと,が課題として考えられた。今後,作成した3つの観点それぞれに修正を加え,再度,開発を試みる必要性があった。 いずれにしても,導出した結果から,教師のキャリア発達を担保していくためには,挫折や成功した体験など豊富な経験を獲得していくこと,研究会などに積極的に参加し専門的な知識を獲得していくこと,子どもの学習成果を高める実践的指導力を高めていくこと,が重要であるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学校人事や学級経営等の理由により,当初,予定していた調査対象者を大幅に削減することを求められた。とりわけ,学校長や各学校で研究部を担当していた教師の異動により,前年度に調査依頼をしていた内容を再度,依頼にいくことを求められるなど,研究当初に予定していなかったことが生起した。これにより,「自己概念」「専門技能」「他者認知」の各測定観点を作成するための十分な先行研究の概観が遅れることとなった。なかでも,「自己概念」と「他者認知」については,アンケート調査とインタビュー法を用いて行うため,そこで取り扱うデータは教師の主観的な情報の切り取りになってしまう危険性が高かった。これより,収集したデータに対していかに客観的根拠を担保していくかは十分な先行研究の概観に求められることとなるが,先の理由によってここに十分な時間の確保をさくことが今年度は困難であった。これより,新年度(2005年)では,再度,先行研究の概観を十分に行い,調査票の内容を確かなものへと高めた上で,研究を推進していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
主として,以下の2点を実施予定である。 (1)小学校教師を対象に,先の「自己概念」をはじめとする3つの観点それぞれを,再度,測定・評価し,3つの評価結果の相関関係を検討することで,「教師のプロ意識」調査票を再開発すること(7月中に実施予定),(2)プロ意識の高い教師は本当に学習成果も高いのかを検討するため,小学校体育授業(6授業)を対象に,学習成果(態度得点,運動技能,学習集団機能)を高めた教師とそうでない教師とで「教師のプロ意識」調査票の診断結果がそれぞれどのように異なるのかを検討すること,の2つを実施予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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