2012 Fiscal Year Research-status Report
貧困化する現代日本社会における「子育て・教育費支援制度」の総合的・実証的研究
Project/Area Number |
24730648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
白川 優治 千葉大学, 普遍教育センター, 助教 (50434254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育費 / 教育費支援制度 / 子育て支援 / 教育財政 / 教育行政 / 子ども福祉 / 教育の機会均等 / 地域格差 |
Research Abstract |
本研究は、子育て支援政策や福祉政策、教育費支援政策等の政策目的を問わず、子どもの成育過程を支援することを目的に実施されている諸政策を「子育て・教育費支援制度」と包括的に位置づけたうえで、現代日本における、国・都道府県・市区町村の実施する教育費支援制度の実態を明らかにし、各学校教育段階における教育費支援について全国的な最低基準と許容されるべき地域的格差について政策的含意を得ることを目的とするものである。 この目的を達成するために、研究期間において、①国・地方自治体が実施している「子育て・教育費支援制度」の歴史的経過の分析(①歴史的検証)、②地方分権下における教育行財政及び福祉行財政の国と地方自治体の機能分担の理論的検証(②理論的検証)、③教育費支援のために国・都道府県・市区町村において実施されている各諸制度の実証分析(③実証的検証)、④①②③の成果の融合による、教育費支援について全国的な最低基準と許容されるべき地域的相違の政策的検証(④政策的含意の析出)の4つの研究に取り組んでいる。 平成24年度は、「子育て・教育費支援制度」の「①歴史的検証」と「②理論的検証」を行うために必要となる資料収集を進めた。また、次年度に本格的に実施する「③実証的検証」の準備作業として、特定地域における「子育て・教育費支援制度」の地域間格差の具体的実態とその背景について分析作業を進めた。具体的には、千葉県を検証地域に設定し、同一県内という共通条件の中で、各市町村による「子育て・教育費支援制度」の制度配置の相違を検討し、その実態と課題を明らかにした。その成果の一部は、日本教育行政学会第47回大会(2012年10月28日/早稲田大学)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度である平成24年度は、文献研究により「子育て・教育費支援制度」の「①歴史的検証」と「②理論的検証」を中心に進め、同時並行として、平成25年度に「③実証的検証」として行う計画である質問紙調査及び資料提供依頼調査の準備を進める計画であった。 平成24年度は、この計画通り、「①歴史的検証」と「②理論的検証」を行うために必要となる資料収集を進め、また、「③実証的検証」の準備作業として、特定地域における「子育て・教育費支援制度」の地域間格差の具体的実態とその背景について分析作業を進めた。 本研究における、「③理論的検証」では、地方分権の下で、教育及び福祉の行財政機能を中央・地方政府でどのように役割分担することが公平と平等の観点から求められるかを明らかにすることを目指している。これについては、「③実証的検証」の準備作業を同時並行で進めたことにより、理論のみでなく実態として、広域自治体である都道府県の示すリージョナルミニマム(広域地域最低基準)、もしくは、リージョナルスタンダード(広域地域共通基準)の重要性を把握することができた。この成果は、次年度に、より実質的で効果的な質問紙調査及び資料提供依頼調査を実施するために重要である。 このことから、本研究は、おおむね順調に進捗していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究計画書の通り、「③実証的検証」として、各自治体への質問紙調査及び資料提供依頼調査を中心に研究を行う。「①歴史的検証」と「②理論的検証」は、継続して取り組み成果の深化を図る。 まず、本年度に中心的に取り組む「③実証的検証」では、国・都道府県・市区町村で行われている「子育て・教育費支援」のための制度・政策の現状と把握する実態調査を行ううことにより、「子育て・教育費支援制度」を総合的に把握するものである。その結果を整理することで自治体間の制度・政策の相違を具体的に検証する。 「①歴史的検証」については、「③実証的検証」に基づいて得た各自治体の教育費支援制度・政策を対象に、その創設と展開過程の歴史的経過を分析することで、前年度の成果を深化させる。「②理論的検証」については、平成24年度に継続して、子育て・教育費支援制度・政策における中央政府と地方政府の権限分配の理論的在り方を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、研究目的を達成するために、「①歴史的検証」「②理論的検証」「③実証的検証」をその内容とし、文献研究と質問紙及び資料提供依頼調査(以下、質問紙調査)をその研究方法として取り組んでいる。そのため、研究経費についても文献収集のための支出と質問紙調査のための経費が主な支出項目となっている。 本研究では、配分された研究費が、当初計画していた研究計画の85%程度であったことから、平成25年度以降の研究計画で必要となる研究費を勘案した上で、初年度となる平成24年度は抑制的に研究費を利用することにしたため、次年度使用額が生じることとなった。なお、次年度使用額の発生は、研究計画全体に影響するものではない。 平成25年度は、当初の研究計画書及び、上記「今後の研究の推進方策」に記載している通り、「③実証的検証」の質問紙調査を中心に行う。そのため、都道府県と市区町村に対する調査を実施するために必要となる通信費とその結果を整理するために、研究費を使用する計画である。また、資料収集の一環として、訪問インタビュー調査を実施することを想定し、その経費を計上している。さらに、「①歴史的検証」「②理論的検証」として、文献研究を継続的に行うために、これらの資料収集に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)