2014 Fiscal Year Research-status Report
障害者用駐車スペース利用をめぐる市民の行動の適正化を促す啓発のあり方
Project/Area Number |
24730650
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西館 有沙 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (20447650)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 啓発に関するニーズ / 啓発教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの実験により、障害者用駐車スペース内や建物内に、啓発看板や啓発ポスターを設置した場合、不正利用を抑制する効果は多少あるものの、大幅な抑制にはつながりにくいことが確認された。その要因として、看板やポスターの存在に気づかないドライバーがいることがあると推察された。この実験に引き続き、障害者用駐車スペース内で啓発放送を流すなどの方法の効果を検証することを予定していた。しかし、先の結果を受けて、放送を流す効果は低い可能性が高いと判断された。 そこで本年度は、啓発教育の効果の検証に切り替え、そのための資料を収集すること、啓発教育の試行とその効果検証を行うことを企画した。 まず、茨城県つくば市、愛知県名古屋市において、車いす使用者らを対象に、市民への啓発内容に関するニーズについて、ヒアリング調査を実施した。また、フィールド調査により、各地域の駐車場内に設置された、障害者用駐車スペースに関する啓発看板や啓発ポスターの内容を調べた。さらに、障害者用駐車スペースに関する適切な知識を身につけることを目的とした啓発教育の案を作成し、大学生を対象に試行した。この効果は、啓発の事前、事後に行った質問紙調査によって確認した。 その結果、障害者用駐車スペースに関する啓発は、現状ではドライバーあるいは運転教育受講者に対して行われている。しかし、車いす使用者らが、そうした対象者に直接啓発を行う機会はほとんどないとのことであった。大学生を対象とした啓発教育の効果については、教育の実施後に「健常者は何があっても障害者用駐車スペースに停めてはいけない」と考える者が増えた。また、対象者の全員が、障害者用駐車スペースに停めてはいけないという意識が「非常に」高まったと回答した。ある者は、「停めてはいけないと習ったことはあったが、幅を必要とする人がここにしか停められないという現状は知らなかった」と述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を一部変更しているが、これは既に行われた研究の成果を反映しての変更である。今年度はその変更に基づき、啓発教育の試行や、教育の効果検証を行っており、おおむね順調に進展しているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き啓発教育の内容を精査し、その効果検証を行うことを予定している。
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