2012 Fiscal Year Research-status Report
多文化社会ドイツにおける排除と共生の葛藤に学ぶ教育に関する研究
Project/Area Number |
24730651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
伊藤 亜希子 山梨大学, 大学教育研究開発センター, 助教 (70570266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドイツ / 異文化間教育 / 青少年教育 / 差別 / 多文化社会 |
Research Abstract |
本研究は、多文化社会ドイツにおいて、排除と共生の葛藤を体験的に学び、日常生活に現れる差別や偏見、レイシズムに取り組む青少年教育に注目し、共生に向けた課題に如何に取り組み、共生の方途を模索しているのか、その内実を明らかにすることを目的としている。具体的には、アンネ・フランク・センター(Anne Frank Zentrum Berlin)と「レイシズムのない学校-勇気のある学校(Schule ohne Rassismus-Schule mit Courage)」プロジェクトによる教育活動に注目している。前者は、アンネ・フランクに関する学習を通して、過去と現在のドイツ社会における人権課題に関する学習を、後者は民族、宗教、性差、性的指向などに対し、さまざまな形で現れる現在のレイシズムに関する取り組みを促すものである。 2012年度は、上記の調査事例について、ベルリン、エッセン、ケルン、アーヘン等にある関連組織を訪問し、差別や偏見、レイシズムに関する具体的活動内容について調査を行った。なかでも、アンネ・フランク巡回展及び青少年へのガイドトレーニングを担当するWeber氏、ドイツにおける最大マイノリティであるトルコ系移民に焦点化した歴史教育プログラムを担当するBalikavlayan氏、NRW州における「レイシズムのない学校」プロジェクトの州コーディネーターであるBonow氏にはインタビューの調査協力を得、それぞれの活動内容に関する情報提供を受け、概要を把握した。これらに共通した特徴は、青少年の共感性を重視した教育活動を展開する工夫、またこれらを促進するための多様な教材の作成等である。 アンネ・フランク・センターの諸活動については、その特徴とともに日本における実施の可能性も含め、従来から行ってきた現地調査や文献研究の成果等を整理し、日本国際理解教育学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、現在のところおおむね順調に進展している。本研究は、研究実績の概要にも示したとおり、ドイツにおける2つの事例を基に、文化的に異なる人々の排除と共生の葛藤という、多文化社会における課題に取り組む青少年教育活動の内実を明らかとするものである。 上記の研究目的の下、初年度である2012年度は、ドイツの青少年教育における異文化間教育、反人種主義教育に関する理論的・実践的動向の把握、アンネ・フランク・センターと「レイシズムのない学校」プロジェクトの教育活動に関する資料収集・分析を計画していた。この計画を遂行するため、2012年11月に現地調査を実施した。とりわけ、研究の進捗に大きく関わる以下のインタビュー調査では、想定していた以上の情報提供を受けた。 ベルリンでは、アンネ・フランク・センターの活動の中でも、青少年の参加型教育の中心となっているアンネ・フランク巡回展とガイドトレーニングを担当するWeber氏にインタビューを行い、2012年に完成した新しい巡回展用パネル(Deine Anne.Ein Maedchen schreibt Geschichte)において扱われている今日の人権課題と教育活動の手法について情報を得た。また、「レイシズムのない学校」プロジェクトについては、特にNRW州における展開とその活動内容に焦点化することから、ケルンにおいて、州コーディネーターであるBonow氏にNRW州における展開といくつかの活動事例について詳細の聞き取りを行った。このほか、アンネ・フランク・センターと「レイシズムのない学校」プロジェクトに関しては、その教育活動に関するさまざまな文献資料の提供も受けた。 現地調査終了後、インタビューの書き起こし、収集資料の整理・分析を進めている(継続中)。これらは2013年度に実施する調査計画を具体化するのに有益なものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に実施した調査結果を基に、2013年度以降は以下の通り、研究を進めていく。 第一に、初年度に収集した文献から、異文化間教育・反人種主義教育の理論的背景と調査事例に関する文献資料に見られる活動の整理を行うことで、調査事例が促進している排除と共生の葛藤に学ぶ教育活動の理論的位置づけを行う。 第二に、初年度の調査においてNRW州における「レイシズムのない学校」プロジェクトで詳細情報を得た都市を訪問し、現地でのコーディネーター及びプロジェクトに参加する青少年にインタビュー調査を実施する(調査予定地:ビーレフェルト、ライネ他、調査時期:7月中旬)。 第三に、アンネ・フランク・センターの教育活動については、新しい巡回展用パネル(Deine Anne.Ein Maedchen schreibt Geschichte)に伴う過去と現在の人権課題についての学びの手法を調査するため、実際にガイドトレーニングの参与観察を行う。現在、この巡回展はNRW州によって重点的に受け入れられており、現地での受け入れ組織とNRW州における実施動向について、アンネ・フランク・センター担当者のWeber氏に再度インタビューを実施する(調査予定地:ミュンスター、ベルリン他、調査時期:12月初旬)。 以上の調査を実施し、排除と共生の葛藤に学ぶ教育活動における青少年の学びの基本的条件、実施体制、学校外組織の役割を明らかにするため、調査結果の整理・分析を進める。なお、申請時には2013年度調査については、NRW州における移民の集住都市(エッセン市他)、旧東独地域(ベルリン市他)を想定していたが、初年度の調査を受け、上記の通り調査地を変更している。2013年度は2回の渡独を予定しており、調査予定地におけるプロジェクトや巡回展の実施時期に合わせて、調査対象と訪問時期の調整を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)