2014 Fiscal Year Annual Research Report
「専門職の学習共同体」としての学校に関する基礎的研究
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24730655
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
織田 泰幸 三重大学, 教育学部, 准教授 (40441498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 専門職の学習共同体 / 校長のリーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,北米において注目されている「専門職の学習共同体(PLCs)」としての学校の特徴を理論的・実証的に明らかにすることである。 本年度は、昨年度の研究に引き続いて、以下の2点を行った。 第一に、PLCsの基盤となる考え方を吟味するためにアメリカの教育政策分析家マクロフリン(M.W.McLaughlin)らの「教授・学習の文脈」に関する研究について概観し、PLCsの観点からその意義について若干の考察を加えた。彼女らの研究から明らかになった「強力な専門職の共同体」の特徴は,①「教授効果」や「学校効果」の研究をより幅広い「文脈効果」についての研究として発展させ,文脈に埋め込まれた教授・学習の多様で相互作用的な特徴を明らかにした点,②教師たちの協働的な探究と学習の機会が,幅広く共有される教授の英知へと帰結することを提示することで,初等学校を対象としたローゼンホルツの研究成果を中等学校を対象として裏づけた点が,特に評価できることを指摘した。 第二に、PLCsをめぐる議論の性質の違いを明らかにするために、PLCsという概念の考案者であるホード(S.M.Hord)とその研究仲間であるトビア(Edward Tobia)の文献に着目して,その特徴を明らかにしたうえで,意義と課題について考察を加えた。彼女らの研究は,PLCsの現実的な可能性を追求するものであり,その理念や特徴だけでなく,教育の実践家たちがPLCsを創造するための有益なツールを提示している点,そしてそれらのツールの活用を通じて学校の変革・改善を実現するための具体的な戦略や行為を含めて提示している点に,その意義を見出すことができることを指摘した。
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