2013 Fiscal Year Research-status Report
一般教育の導入が大学教育の形成に与えた影響に関する基礎的研究
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24730658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 美香子 九州大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30567326)
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Keywords | 高等教育史 / 大学史 / 一般教育 / 教養教育 / 新制大学史 / 大学教育 |
Research Abstract |
平成25年度研究実施計画に基づき、以下の作業を実施した。 (1)東京大学附属図書館所蔵の関東地区一般教育研究協議会の一次史料群の調査と収集を行った。収集した史料ををもとに、所蔵状況と協議会の議事内容の仮目録を作成した。 (2)名古屋及び東海地区一般教育研究協議会の一次史料群の所蔵調査を実施し、現段階での同協議会の所蔵状況仮目録を作成した。 以上の史料収集及び調査の結果、今年度研究計画にて予定していた関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会の各協議会記録関係史料の残存状況を把握するための仮目録を作成することができた。加えて、関東地区一般教育研究協議会の活動内容の概要を把握することができた。これらの作業を通して、一般教育導入当初に新制大学が抱えていた課題や直面していた問題の一端を踏まえることができたと思われる。以上の地区における一般教育研究協議会関係史料の残存状況と議事内容の把握を通して、研究の継続期間内に結果を出すための基礎作業の一部を成すことができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会に関する史料の残存状況を把握し、その議事内容から両地区の一般教育研究協議会の活動内容を踏まえることを目標としていた。今年度の「研究の目的」を達成していると考える理由は以下のとおりである。 (1)関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会の史料の所蔵状況を明らかにし、その仮目録を作成することができた。 (2)関東地区一般教育研究協議会の議事内容を仮目録にするかたちで整理することで、その活動内容を把握する事ができた。 (3)前年度の考察対象であった九州地区一般教育研究協議会の活動内容について、研究成果の一部として論文(「九州・四国・中国(広島県,山口県)地区大学一般教育研究会における一般教育をめぐる議論についての一考察-第1回・第2回研究会(昭和27~28年)を通して-,『大学教育学会誌』,第35巻,第2号,p97-p103,2013.11.)として発表した。この研究成果の一部を踏まえることで、関東地区一般教育研究協議会が抱える課題の固有性も明確にすることができた。 以上、今年度は計画通りに2つの一般教育研究協議会について、史料の残存状況と活動内容を把握する事が出来た。今年度の作業により、新制大学形成史を明らかにしていく上で不可欠な基礎作業ができたという感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度実施した、関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会に関する調査結果の成果を踏まえ、次年度以降は以下の方法で研究をすすめる。 平成26年度は、東北及び北海道地区の一般教育研究協議会に関する史料調査を実施し、その活動内容について考察を加える。同協議会について、北海道大学大学文書館にて史料調査とその収集を実施する。なお、東北及び北海道地区一般教育研究協議会には、北海道大学以外に北海道所在の複数大学が参加しているので、周辺の大学にて史料調査をすすめていくにあたり、北海道大学大学文書館において周辺大学の所蔵等の情報なども聴取しながら調査をすすめる。また、北海道大学大学文書館での調査の結果、史料の収集が不十分だった場合は、北海道大学附属図書館にて調査を実施する。以上、史料調査後に史料の残存状況と議事内容に関する仮目録を作成する。これらの作業をとおして、平成24年から25年度までの研究成果を比較検討の軸に据えることで、東北及び北海道地区一般教育研究協議会の活動の特徴を明らかにすることを目指す。 平成27年度には、前年度まで明らかとなった各地区一般教育研究協議会の活動内容の全体像を踏まえ、第二次一般教育研究委員会の関係史料の調査を実施する。さらに、前年度までの成果を踏まえて、同委員会の活動とその影響について考察することにより「大学教育」の形成過程を明らかにする。以上の研究成果として、最終年度である平成27年度には報告書にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究対象である東北及び北海道地区一般教育研究協議会には、北海道大学以外に北海道所在の複数大学が参加しているので、周辺の大学にて史料調査をすすめることになる。その結果、調査の成果物の一つである史料の点数が多く、膨大な史料を整理することになる。次年度使用額が生じた理由は、史料を整理するためのファイル等の物品費・その他の費用を次年度は平成25年度以上に多く購入する必要があるからである。 次年度は、東北及び北海道地区一般教育研究協議会に関する史料調査とその議事内容の仮目録を作成する。なお、北海道で調査を実施するのは初めてである。次年度の研究対象である東北及び北海道地区一般教育研究協議会には、北海道大学以外に北海道所在の複数大学が参加しているので、周辺の大学にて史料調査をすすめていくにあたり、北海道大学大学文書館において周辺大学の所蔵等の情報なども聴取しながら調査をすすめる必要がある。 使用計画として、東北及び北海道地区一般教育研究協議会に関する膨大な史料を整理するためのファイル等の購入に充当する。
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Research Products
(1 results)