2014 Fiscal Year Annual Research Report
明治期から昭和初期の学校教育における子どもと教師の「修養」に関する歴史的研究
Project/Area Number |
24730667
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 智哉 國學院大學, 文学部, 准教授 (80570481)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 修養 / 姿勢 / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
奈良女子大学附属小学校より連絡を受けた新資料の検討と、前年度に奈良女子大学附属小学校において収集した史料の検討を行った。今年度は最終年度であったが、前年度までの研究によって新に獲得した視点を踏まえ、木下竹次の「修養」を明らかにする上で、奈良女子高等師範学校附属小学校開校時までさかのぼって精緻な検討を行うこととした。 具体的には、初代主事を務めた眞田幸憲の実践や思想を検討した結果、彼が開校以来「姿勢」指導に力を注いでいたことが明らかになった。したがって、木下が考える「自律的学習」は「姿勢」を根帯としており、身体の構えづくりが「自律的学習」を可能にし学習の総体を「修養」としていたことから、木下の「姿勢」指導と眞田の「姿勢」指導の異同を明らかにすることが必要になったのである。研究の結果としては、眞田の「姿勢」指導は「意志の陶冶」を目指した訓育の実践であったことから、眞田と木下の「姿勢」指導は異なることが明らかになった。 また、収集した史料(日誌や職員会記録等)の検討を通して、1930年代の奈良女高師附小における「訓練」と「修養」「姿勢」の関係について明らかにする手がかりを得ることができた。このことについては、十分に検討することができなかったため、本科研終了後、早急に明らかにする予定である。 3年間の研究を総括すると、研究開始当初に目的として掲げていた「明治期から昭和初期の歴史、社会、文化、教育の文脈の中に修養を位置づけ、修養の構造を明らかにすること」は、十分に果たし得なかった。しかし、個人の「修養」思想や実践の解明のみでなく、戦前期の奈良女子高等師範学校附属小学校という一つの学校における「修養」を探究することができたことで、「修養」を捉える上で参照軸となる太い軸を得ることができたため、今後の研究の展望を描きやすくなったことが最大の成果であった。
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