2014 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ初等中等教育の分権システムとグローバル化への対応
Project/Area Number |
24730673
|
Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
塙 武郎 大月短期大学, 経済科, 准教授 (90434422)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ヒスパニック系生徒 / グローバル化 / 教育目的税(学校区の自主財源) / 特別教育基金 / 一般基金 / 連邦教育補助金 / 貧困・移民政策 / Race to the Top |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、主としてアメリカ国内で進展するグローバル化と向き合う巨大都市ロサンゼルスを対象に、大量のヒスパニック系生徒の在籍するロサンゼルス統一学校区の財政分析を行った。特に貧困対策・移民対策と連動した連邦教育補助金との関係で分析することに主眼を置いた。同学校区は69万人の生徒を擁し、その73%がヒスパニック系生徒であり、またその多くが低所得の移民労働者の子供である。また同学校区は、自主財源(教育目的税としての地方財産税)が乏しく、州教育均衡交付金に依存している。このことは、先に明らかにしたシカゴやニューヨークの事例と同様である。ただし、ヒスパニック系生徒の多いニューヨークと比べて、同学校区の場合、ヒスパニック系生徒を対象とする英語補修プログラムを管理運営する特別教育基金の収入(財源)のほとんどを連邦教育補助金(使途を縛る特定補助金)に依存しているのが現状であり、大量のヒスパニック系生徒の英語力向上に資するほどの財源規模ではないことを明らかにした。 本来であれば、同学校区は、英語力の低いヒスパニック系生徒が求める英語補修プログラム等を中心とする多様な教育ニーズに対応すべく予算編成を行うべきである。しかし現状は自主財源をまず一般教育を管理する「一般基金」に優先的に配分して教員給与を確保する流れになっている。すなわちヒスパニック系生徒が求める英語補修プログラム等を管理する特別教育基金に自主財源を投じる余裕はなく、結果的に特定補助金である連邦教育補助金に依存する形になっていることを実証した。 なお、上述した研究成果の一部は、國學院大學経済学部『國學院経済学』に論文として発表した。
|
Research Products
(4 results)