2012 Fiscal Year Research-status Report
分権改革に伴う指導主事の配置構造と職務実態の変容に関する実証的研究
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24730674
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
押田 貴久 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40573879)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 指導主事 |
Research Abstract |
本研究の目的は,政治学・公共政策学で用いられる合理的選択制度論の視角から,「国の行財政改革(規制緩和・地方分権)という制度変化に伴い,自治体と教育委員会職員(指導主事)の行動(配置構造と役割)は,どのように変化したのか?」という問いをたて,指導主事の配置構造と職務実態を素材に実証分析を行うことで地方における指導行政の変化を明らかにすることである。 平成24年度は,文部科学省『地方教育行政調査』等の行政資料をもとに都道府県,教育事務所,市区町村毎の指導主事の配置構造の推移を都道府県別に整理した。 また,指導主事の職務に関する先行研究を整理し,制度変化との関係から捉え直した。すなわち,旧教育委員会法下では教員への「指導」が本務として期待されていたが,1956年以降の地教行法体制下では,「管理」(タテ系列の職務)が重視されるようになった。そして,2000年の地方分権一括法以降は,各自治体の教育「政策」(自治体独自のヨコの職務)の形成・実施がより期待されるようになり,「各自治体の教育施策を通じて,教職員の力量形成を図っていくこと」が市町村教育委員会における指導主事の役割と再定位した。 指導行政の実態に関して,指導主事の配置状況,推移,学校訪問の形態や頻度,研修の形態や頻度,指導行政に関する認識などに関する質問紙調査を全国の都道府県教育委員会と教育事務所,市区町村教育委員会を対象に実施し,分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属先の変更(東京女学館大学から宮崎大学)に伴い,研究体制の見直しが必要となった。まず,質問紙調査が年度末にずれ込んだ上に,質問紙の発送・データ入力等の作業を教職大学院の院生や学部学生に依頼することが困難であり,3月中に自ら作業せざるを得ない状況であった。また,交通の利便性の問題から訪問調査が限定的にならざるを得ない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果を踏まえ,平成25年度は,前年度に実施した都道府県教委,教育事務所,市町村教委への質問紙調査の分析を進め,指導主事の配置状況と指導行政の実態把握に努める。 指導主事職務実態調査については,都道府県,教育事務所,市町村のそれぞれの指導主事に対し,2週間程度の職務実態の記録を依頼する。実施時期については,研修の多い夏休みと学校訪問や予算編成が行われる10月の2回を候補としている。 訪問調査に関しては,前年度調査ならびに職務実態調査の結果をもとにインタビュー調査ならびに地方行政資料の収集を行いデータの厚みを増し,信頼性を高めたい。 最終的にはこれら質問紙調査,職務実態調査,訪問調査によるデータを収集・分析を通じた知見をまとめ,研究課題に対する結論を導き出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,職務実態調査の調査票の印刷・発送・回収にかかる経費を中心に,データ入力の人件費,訪問調査や学会発表にかかる旅費が主たる研究経費になる予定である。
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