2013 Fiscal Year Annual Research Report
日蘭オルタナティブスクール比較研究―教育の質をめぐる論点を取り上げて
Project/Area Number |
24730675
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 重和 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (30549233)
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Keywords | 比較・国際教育学 / 教育制度論 / オランダ教育研究 / オルタナティブ教育 / 教育監査 / 教育の質 / 学校評価 |
Research Abstract |
多様な教育理念や方法を制度的に承認した上で、全体的な教育の質をも維持する公教育制度を構築することは可能か。本研究は、この問に答えるべく、日本とオランダ両国の事例を取り上げ、公教育制度とオルタナティブスクールの関係性について探ることを目的とした。 研究開始年度である平成24年度は、オランダのオルタナティブスクールの制度的基盤である教育監査制度について、その内実の変化に着目して分析を行い、制度の経年的な変化を追いながらその特徴を明らかにした。 研究最終年度である平成25年度は、まず、日本のオルタナティブスクールの教育理念に着目し、これを整理・検討することでその現状と課題の一端を明らかにすることを目指した。本研究により、フリースクールを含めた一部のオルタナティブスクールの公教育化/学校化が進展している一方で、塾産業の進出と滞留によりフリースクールが学習塾化している傾向や、社会復帰施設としての役割も一定程度担っている現状が明らかとなった。これらの状況は、公教育制度改革や社会状況の変化に対応していく中で、オルタナティブスクールの存在意義がその内外から問い直されていることを表しているといえる。 本研究では続けて、上記のような状況は、日本のみならず各国のオルタナティブスクールが共通して抱えている構造的な課題が、日本の文脈において顕在化したものであると捉え、その内実を分析することとした。すなわち、オルタナティブスクールが公教育制度と対峙するとき、そこに何らかの葛藤が生まれると仮定し、葛藤の内容を探るべく日本とオランダの事例を比較検討した。その結果、公教育制度下におけるオルタナティブスクールの「認証」の問題が、オルタナティブスクールが公教育制度との関係性において抱えている葛藤の具体的な状況として明らかになった。
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Research Products
(3 results)