2014 Fiscal Year Research-status Report
現代の貧困問題に取り組む幼年期リテラシー教育と学校システムのモデル化
Project/Area Number |
24730677
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
竹川 慎哉 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30513311)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | オーストラリア / カリキュラム / スタンダード化 / リテラシー形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,25年度に実施できなかったオーストラリア調査を行った。 渡航調査の目的は、①コンピテンシー・ベースのカリキュラムであるナショナル・カリキュラム実施後の学校カリキュラムの変容や諸問題、②低学力層の学力向上への影響、③現地学校での授業観察、④幼児期リテラシーに関する文献・資料の収集である。 ①②については、クイーンズランド工科大学、南クイーンズランド大学の研究者(4名)にそれぞれインタビューを行った。これらを通して、現在のクイーンズランド州では、ナショナル・カリキュラムを徹底するために,州政府レベルでのカリキュラムのスタンダード化が進められ(レベルごと、単元ごとにウェブ上のデータベースで選択することで教材も含めた授業プランが提示されるシステム)、それをテストによる学力評価によって推進する政策がとられていることが明らかになった。そうした教育課程政策のなかで、先住民や移民、経済的困難を抱える家庭の子どもたちに対して従来行われてきた教育実践が展開できにくくなっている現状が浮かび上がってきた。 他方で、ナショナル・カリキュラムに提示されるコンピテンシーや内容を「戦略的」に運用する可能性も学校での授業観察やインタビューから明らかになった。ブリズベン市郊外のBurranda State Schoolは、Philosophyという独自の科目を設定し、1990年代後半より学力向上を中心とした学校カリキュラム改革を行っている。この学校では、Philosophyを核とした自校のカリキュラムが、どのようにナショナル・カリキュラムに示されたコンピテンシーと対応しているかを示しながら、実践を継続していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度は,研究最終年度として国際学会での発表と論文投稿を目指していた。後者については、国際的な編集委員会のもとに刊行されるDominic Wyse, Louise Hayward, Jessica Pandya(eds.) The SAGE Handbook of Curriculum, Pedagogy and Assessment, SAGE publisher(in press)に掲載が決定したものの、学会発表を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
過年度の研究成果を踏まえ、27年度に海外での学会発表を行う。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は,研究成果を国際学会で発表するための旅費を計上していたが、25年度計画で未実施であったオーストラリア調査を行う必要があったため,日程の調整ができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度中に海外での学会発表を行う。そのための学会参加費及び旅費として使用する。
|