2012 Fiscal Year Research-status Report
日本統治初期台湾における「学校」設置政策に関する調査研究
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24730681
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
山本 和行 天理大学, 人間学部, 講師 (00584799)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 台湾 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき、台湾統治初期(1895年~1898年)の「学校」設置をめぐる台湾総督府の教育政策の変遷過程につき明らかにするため、台湾の国史館台湾文献館所蔵の『台湾総督府公文類纂』所収の公文書、および『台湾新報』などの新聞資料、『台湾教育会雑誌』などの雑誌資料の調査を行い、分析を行った。 具体的な研究成果は以下のとおりである。①「学校」設置政策の変遷について調査・分析した結果を、「台湾統治初期の学校設置過程における台湾住民の「受容」」という論文にまとめ、天理台湾学会『天理台湾学報』第21号に掲載された。②学校設置にかかわって重要な学校儀式の展開について、その具体的な展開の状況と台湾の人々の動向について、台湾で開催された2度のワークショップで発表した。発表題目は以下のとおり。「教育勅語の儀式性―儒教的空間との類似性/差異性―(教育勅語的儀式性―與儒教空間的類似性/差異性―)」(2012年6月、「帝国在台湾」第3回ワークショップ、台湾・中央研究院台湾史研究所、発表言語:中国語)。「学校儀式の法制化から見る教育勅語の導入(従学校儀式法制化来看教育勅語之導入)」(2013年1月、「帝国在台湾」第4回ワークショップ、台湾・国立中興大学台湾文学與跨国文化研究所、発表言語:中国語)。なお、このワークショップにおける成果は論文にまとめ、論文集として出版される予定であり、現在出版に向けて計画を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】にまとめたとおり、本年度の研究実施計画に基づき、すでに公開および刊行されている公文書、新聞、雑誌などの諸史料の調査については当初の計画どおりに進めることができた。また、史料調査の進展にともない、研究成果の公表も当初の計画以上に進み、2度の研究発表および1本の論文掲載という形で研究成果を公表することができた。 ただし、上述した史料以外の史料調査、つまり台湾の国民小学(日本の小学校に相当)所蔵の学校関連史料については、当初の計画よりやや時間がかかっており、現在は士林国民小学および台南師範大学付属国民小学の史料を調査できたにとどまっている。 以上の点を鑑み、現在までの達成度については、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、研究実施計画に基づき、学校設置政策に関連する台湾における所蔵史料の調査・分析を推進するとともに、研究計画の最終年度にあたることを踏まえ、学会発表・論文公表による研究成果の公表を進め、研究のまとめを進める。 具体的には台湾の学校所蔵史料の調査・分析を進めると同時に、これまでの史料調査・分析、および研究成果によって明らかとなった学校設置政策をめぐる全体的な視点との関係性について考察する。そのことを通じて、当時の台湾総督府による学校設置政策を具体的かつ包括的な視野から描き出すことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画については、研究実施計画および上述の「今後の研究の推進方策」に基づき、台湾における所蔵史料調査のための研究旅費、史料調査に関する研究協力者への謝金、調査史料の収集・整理・保存・利用に必要な情報機器および史料の分析・検討にかかる研究書などの購入費用、研究成果公表のための学会発表(日本・台湾)・論文公表にかかる費用などへの使用を計画している。
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Research Products
(4 results)