2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児の身体活動に関するカリキュラム作成への試み-保育現場の実践を意図して-
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24730683
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
田中 沙織 広島女学院大学, 人間生活学部, 講師 (40548799)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幼児 / 身体活動 / 保育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国においては幼児の身体活動量についての目標値を世界の基準とすり合わせつつ60分程度の中強度以上の運動と示されていものの、保育現場に対して幼児の活動量を増大し心身の健康な発達のために必要な具体的方策は示されていないという課題があった。 それに対して、平成26年度では、幼児の身体活動の現状について保育所に通う4歳児から5歳児を対象に、在園時間の身体活動量と運動強度のモニタリングを1週間行った。その際、データ収集はデータの信憑性が高い多軸加速度計を使用しながら、同時に具体的な生活内容と身体活動を照合させるための観察調査を行なった。その結果、午前の設定保育時間に身体活動が高まることが分かったが、それと同程度、もしくはそれ以上に運動を意図しない生活の中に介在している身体活動で多くの身体活動が観察された。また、午睡後の時間において身体活動が高まりにくいという課題も見られた。 さらに、福岡県の保育士約3,000名を対象とした質問紙調査にて、3歳児から5歳児で実施している身体活動に関する保育計画の作成方法、身体活動に関する保育実践の内容、幼児期の身体活動に対する意識などについて調査を行った。分析・結果報告は次年度に行う。 国際的な幼児の身体活動の動向については、カナダのMcMaster UniversityのDr. Brian Timmonsや東部オンタリオ子ども病院研究所(CHEO)を中心に視察、インタビュー調査を行い、世界の中から見たカナダの子どもの身体活動の現状や、家庭や地域に向けた身体活動増進の啓発活動について示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目で達成すべき目標については、特に準備が必要と思われた保育者に対する幼児の身体活動に関する調査が終了したことで研究が大きく進んだ。計画では幼稚園教諭にも調査を予定していたが、保育士を対象とした調査で十分な調査ができたことと、保育士と同等の規模での幼稚園教諭の調査が難しかったことから保育士に限定して調査を行った。 国際的な幼児の身体活動の動向については、今後の幼児教育現場に対する啓発活動を行う上で有益な視点を得ることができたが、現地での幼児の身体活動調査はすでに調査済みであったため資料のみ収集を行った。 4.5歳児の身体活動両調査では、在園時の身体活動を1週間計測することに対して許可が得られた幼児に対して計測を行い予定通り分析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
国際的な幼児の身体活動の動向について、平成26年度に引き続き、幼児への身体活動実践が盛んな国(カナダ・オーストラリア・イギリス)において、保育者へのインタビュー調査、保育実践の観察調査を行う。 また前年度において明らかとなった、保育者が感じている身体活動を保育の中に取り入れる際の課題を踏まえて、わが国における幼児の身体活動の効果的な実践方法との課題の克服について介入研究を行う。 まず、日本において提唱されている1日60分の身体活動という目標値に対して、幼児の身体活動状況から、どの程度の割合の身体活動を保育所・幼稚園で担うべきかについて検討する。また、その値に到達するためには、保育計画作成にあたって保育所・幼稚園でどのような運動遊びを配置すればよいか、おおよその目安となる身体活動計画を作成する。 その結果の開示および身体活動量を高める啓発のためのリーフレットを作成・配布する。それによって、保育所・幼稚園の在園時間帯によってどのように身体活動を行なえばよいかという目安や、そのような遊びがどの程度の身体活動を行なうことになるかという目安を提示することができ、身体活動の目標値として示される数値目標よりも理解しやすい実際的な目標を定めることに寄与することを目指す。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金の枠でアンケート入力補助の学生アルバイトを予定していたが、アンケートの回収が年度末に及んだため、翌年度にアンケート入力を繰り越した。それにより、110,212円の次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケートを分析するための統計ソフト、および幼児の身体活動に関する図書の購入費を設備備品費として、リーフレットの紙費・印刷費を消耗品費として計上している。 また、旅費として国内・海外の調査・報告費、人件費としてリーフレット作成等のデータ整理と通訳費、およびその他の項目として海外旅行にかかる雑費を計上している。
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Research Products
(2 results)