2013 Fiscal Year Research-status Report
明治期小学校の試験をめぐる言説にみる能力観・教育観に関する研究
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24730694
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石岡 学 弘前大学, 人文学部, 研究員 (00624529)
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Keywords | 試験 / 選抜 / 能力観 / 教育観 / 明治期 / 小学校 |
Research Abstract |
平成25年度においては、申請書の研究計画に基づき、作業を進めた。 まず、平成25年度の全体を通じて、前年度の後半に調査・収集を行った史料の分析を行った。対象とした史料は、『文部省年報』・『大日本教育会誌(のち『大日本教育会雑誌』『教育公報』と改題)・『教育持論』・『教育報知』の、創刊から1900年前後までの記事である。研究目的に照らし、以下に示すような視角に基づき分析を行った。①言及されているのは「絶対試験」か「相対試験」か②試験の利点として語られていることは何か、欠点として語られていることは何か③言説において前提とされていることは何か(言説発信者の価値観、社会認識等)④どのような状況について、どのような評価がなされているのか。 上記の作業と並行して、平成25年度の後半においては、上記の全国的教育雑誌の分析によって得た知見との比較のため、各地方の教育会が刊行していた教育雑誌記事の調査・収集を行った。具体的に調査対象とした雑誌は、『函館教育協会雑誌』・『宮城県教育雑誌』・『千葉教育会雑誌』(のち『千葉教育雑誌』と改題)・『神奈川県教育雑誌』・『愛知教育会雑誌』(のち『大日本教育会愛知部会雑誌』『愛知教育会雑誌』『愛知教育雑誌』と改題)・『京都教育会雑誌』(のち『京都府教育雑誌』と改題)・『愛媛教育協会雑誌』(のち『愛媛教育雑誌』と改題)・『長崎県教育雑誌』である。これらの雑誌における、創刊(多くは1880年代)から1900年前後までの記事について、調査を行った。そのうえで、上記のうち函館・千葉・愛知・京都・長崎の各地方教育会刊行の雑誌記事について収集を行った。宮城・神奈川・愛媛の各地方教育会刊行の雑誌については、分析に足る分量の記事が掲載されていなかったため、収集を見送った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書において立案した研究計画では、平成25年度を通じて前年度に調査・収集した史料の分析を行うことを予定していた。また、これと並行して、平成25年度の後半では、各地方において個別に刊行されていた教育関連雑誌の調査・収集を行うことを予定していた。 実際には、上記「研究実績の概要」にある通り、いずれの作業もほぼ当初の計画通り進捗しており、「おおむね順調に進展している」との評価が妥当と考える。ただし、分析した言説相互間の関係性の解明についてはなお不十分な点もあり、この点に関しては次年度により一層十分な分析を行っていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、申請書の研究計画に則り、平成25年度の後半に調査・収集を行った史料の分析を行っていく。分析にあたっての方針・方法は、前年度の分析と同様である。 さらに、この分析結果について、平成25年度中に行った分析結果との比較を行う。これにより、それぞれの「試験言説」の一般性および地域性を明らかにする。 平成26年度の後半は、これまでに行ってきた一連の作業を総括し、研究課題の包括的考察を行う。具体的には、明治期小学校の試験をめぐる諸言説がいかなる言説空間を形成していたのかを明らかにし、そこに投影された能力観・教育観とはいかなるものであったのかを、総体的に明らかにする。
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Research Products
(2 results)