2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730698
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古田 和久 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70571264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会階層 / 学校適応 / ジェンダー / 進路選択 / 教育意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「生徒の学習到達度調査(PISA)」をはじめとした既存の社会調査データを活用し,社会階層や学校構造による教育格差の実態とその生成メカニズムを検討することであった。今年度の成果は次のとおりである。 まず,2時点のPISAデータを用いて,生徒の学校適応を学業面から検証した。理数系科目の学業的自己概念が生徒個人の属性や学校環境の特徴によってどのように異なるかを,ジェンダー差に着目して検討した。その結果,男女の学力水準は同等であるにもかかわらず女子は理数系科目の苦手意識が強いこと,学校の男女構成が学業的自己概念に影響していること,などが明らかとなった。 次に,大学進学率の上昇など日本の動向に即した検討を行うべく,高校生を対象とした2つのデータを分析した。兵庫県の高校3年生を対象とした「高校生の進路と生活に関する調査」から,進路多様校では大学進学する場合に奨学金利用希望が相対的に多いこと,普段の学業成績が高い場合に奨学金利用を前提とした進学希望が増える傾向が強いこと,などを明らかにした。もう1つは全国の高校2年生とその母親を対象とした「高校生と母親調査,2012」である。高校生の学校適応と進路希望との関係を分析し,「学校不適応」な大学進学層が一定の規模で確認されること,彼・彼女らの学力は相対的に低く,大学進学の動機も将来の職業希望といった面では曖昧であること,などを示した。 さらに,学校教育の経験が成人世代にとっていかなる意味を持っているのかについて「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)」から,多様な学校経験に対する評価の意識構造を探った。学校教育に対する評価は比較的単純な構造で捉えられ,学校教育の意義に肯定的なタイプと否定的なタイプに区分されること,その評価には個人の学歴と職業経歴の両方が重要な役割を果たしていること,などが分かった。
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Research Products
(3 results)