2012 Fiscal Year Research-status Report
フィンランドにおける教育の地方分権化の影響-学習成果における格差の視点から-
Project/Area Number |
24730707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邊 あや 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 准教授 (60449105)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / フィンランド / 教育行政 / 地方分権化 |
Research Abstract |
本研究は、1990年代に教育の地方分権化を経験したフィンランドを事例として、学校運営や教育内容などにおける学校設置者(自治体)の関与のあり方と度合い、すなわち地方と学校との関係が、学習成果に与える影響を分析することにより、教育の地方分権化の影響とインパクトを中長期的視点から検証することを目的とするものである。特に、本研究では、国と地方の役割に焦点を当ててきたこれまでの地方分権化に関する研究とは異なり、国と地方との関係の変化により自治体間の違いがより鮮明になった地方(自治体)と学校との関係に着目し、そのあり方と学習成果の相関という観点から、地方分権化の影響を探ろうとするものである。 本年度は、研究初年度ということもあり、まず、関連政策・施策に関する文献・資料等の収集収集を行った。その結果、(1)国際学力調査や国内で実施される各種の学力調査・資格試験等の結果から、学力における地域間格差が拡大している状況が認識されていること、(2)政策的にも何らかの対応をすべきとの判断が国としてなされ、学習環境の改善及び学力格差の是正に資する調査研究及び取り組みが進められていること、などが明らかになった。これは、1990年代以降、急速に進められた地方分権化の流れを大きく転換させるものではないが、教育行政における中央の関与のあり方に一石を投じている。さらに、自治体の中には、学校に対するコントロールを強めるところも出てきており、自律的な学校運営の度合いにおいても、地域間格差が存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたうち、文献調査については、重要な情報・データを含む資料を数多く得られ、その分析作業も進んだことから、計画以上の成果が得られた。しかし、その作業に時間を要したため、基礎調査としてのインタビュー調査がにおいては若干課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の文献調査及び現地におけるインタビューを中心とする基礎調査の結果を踏まえ、現地における2次調査・3次調査を自治体等において実施する。また、それらを通じて得られた成果や仮説を国内外の学会における発表や現地研究者との意見交換などを通じて積極的に発信することにより、フィードバックを得、研究の進展に活かす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、現地調査のための海外旅費、国内学会における発表のための国内旅費、データ分析に必要な機材の購入などに研究費を使用する予定である。
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