2014 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドにおける教育の地方分権化の影響-学習成果における格差の視点から-
Project/Area Number |
24730707
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
渡邊 あや 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (60449105)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 比較国際教育学 / 教育制度 / 教育行政 / フィンランド / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1990年代に教育の地方分権化を経験したフィンランドを事例として、学校運営や教育内容などにおける学校設置者(自治体)の関与のあり方と度合い、すなわち地方と学校との関係が、学習成果に与える影響を分析することにより、教育の地方分権化の影響とインパクトを中長期的視点から検証することを目的とするものである。 最終年度である今年度は、まず、(1)1990年代から教育課程編成に関わっている中央教育行政機関の担当者、(2)1990年代のフィンランドの教育課程改革の第三者評価を担当したイギリスの教育学者、(3)教員組合の政策担当者、(4)地方自治体連合教育データアナリスト、に対するインタビュー調査を実施し、1990年代の教育行政改革とその影響の実相を明らかにすることを試みた。その結果、90年代の改革は、自治体の裁量を飛躍的に高めるものであったこと、その改革は教育関係者から概ね評価されていることが確認できた。 一方で、近年、格差拡大への懸念が広まりつつあること、さらには国の教育への関与が強まりつつあることを踏まえ、実態の把握に努めた。具体的には、現在進められている教育課程基準(国レベル及び地方レベル)の編成方法、プロセスなどについて、中央及び地方の教育行政機関でインタビュー調査を行った。その結果、国の関与が強まっている一方、自治体レベルでは、これまで以上に、参加型の編成プロセスがフラットな形で進められている実態が明らかになった。 これまでの研究から、(1)地方と学校の関係は、都市部とその他の地域とで大きく異なっていること、(2)それによる違いは学校経営などについては大きいこと、(3)しかしながら、学習成果についてはさほど明確な影響が見られなかったこと、が明らかになった。
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