2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本社会における高等学校中途退学経験者のキャリア形成に関する実証研究
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24730712
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菅澤 貴之 奈良先端科学技術大学院大学, その他部局等, 准教授 (30551999)
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Keywords | 高校中退 / 職業経歴 |
Research Abstract |
本研究の目的は、計量分析(定量的分析)とインタビュー調査(定性的分析)を組み合わせた実証分析を行うことで、依然として不明な点が数多く残されている高校中退者のキャリア形成の実態を明らかにすることにある。 研究2年目である平成25年度は、前年度から継続している文献レビューと探索的な計量分析を中心に研究を進めた。 文献レビューに関しては、まず、昨年度、十分に検討することができなかった国外(欧米)文献を狩猟した。本年度は、理論研究を中心に資料収集を行い、論点把握につとめた。さらに、新たな視座を得ることを目的に、我が国の大学中退者の現状について把握することを試みた。大学中退者に関しては、文部科学省による統計が未整備であるため中退者数・中退率などの基本情報も推計値に頼らざるを得ないことが確認できた。さらに、数少ない先行研究における調査データは2000年代後半以降の若年層に限定されているが、大学中退者は高校中退者と同様、不安定な生活環境におかれていることが確認できた。 次に、大規模社会調査データを用いた計量分析を行った。分析に用いる個票データは、東京大学社会科学研究所社会調査・データアーカイブ研究センターに寄託されているデータの中から検討した。検討の結果、職歴情報が最も詳細に収集されている「2005年SSM調査データ」を用いて分析を行うことが適切であると判断した。本年度に実施した予備的分析の詳細については、平成26年度に研究成果報告を行う。平成26年度は、計量分析の精緻化を図るとともに、インタビュー調査を実施し、高校中退者のキャリア形成メカニズムを詳細に解明することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は探索的な計量分析と並行して、昨年度から継続して国外(欧米)文献のレビューを進めた。さらに、当初の研究計画では想定していなかった大学中退者の現状に関しても、文献を通して把握することができた。 しかしながら、平成25年8月に勤務校を異動し、転出手続き等に大きく時間がとられたため、学会報告を行うことができなかった。このため、交付申請書に記載した「研究目的」に照らし合わせると、「やや遅れている」と評価できる。ただし、研究成果の発信については、学会報告のみならずwebメディア等を利用し、平成26年度以降、積極的に行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目である平成26年度は、当初の計画にそくしてインタビュー調査(事例調査)を実施する。調査対象者はインターネットリサーチ会社およびソーシャルネットワークサービス等を利用してリクルーティングする。その際、調査対象者が特定の地域、年代に偏らないように配慮する。さらに、下半期からは、平成25年度に実施できなかった学会報告を行い、他者と議論を重ねることでより強固な考察を導出することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では平成25年度に予定していた学会報告を行うことができなかったため。 平成26年度はインタビュー調査の実施を予定している。さらに、下半期からは、学会報告を予定している。そのため、研究費の多くは、旅費として支出する。加えて、本研究課題に関連する最新文献(図書・雑誌など)や消耗品(トナーカートリッジなど)を必要に応じて適宜購入する。
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Research Products
(1 results)