2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730720
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50574331)
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Keywords | 国際理解教育 / 地域展開 / 社会科 |
Research Abstract |
本年度は、①青森県の地域素材を活用した教育実践の開発、②国際理解教育と地域の関連についての理論的探究、③青森県内の関連諸機関とのネットワーク構築に取り組んだ。 ①については、青森県に所在する十三湖(十三湊)を題材にした高等学校・日本史の授業開発に取り組んだ。北方交易に焦点を当て、「日本列島の北端」としてではなく「北東アジア交易の中核」という側面を重点的に掘り下げる学習プログラムを開発し、青森県立五所川原高校において検証授業を行った。その成果は、「北方史研究の成果を活用した高等学校日本史の単元開発―13~16世紀の和人・アイヌ民族の関係史を題材として―」(『弘前大学教育学部紀要』第111号、2014年)に発表した。 ②については、地域社会に視点を置いて国際理解教育を方向付けようとする理論的な教育言説および教育実践を収集し、その理論的な分析・整理に取り組んでいる。その際、歴史的段階性を設定して言説の変動を検証する作業を進めており、1990年代と2000年代の国際理解教育をめぐる主張の中で「地域」がどのような位置づけを与えられ、それがいかに変質してきたかを検証している。また、「地域」に根ざして取り組まれた教育実践事例を収集し、その問題関心や内容・方法を類型化する作業に取り組んでいる。この成果は、2014年度中に研究論文として投稿する予定である。 ③については、国際理解教育に結び付く地域素材を探るため、関係諸機関への訪問調査を実施し、ネットワーク構築に取り組んだ。具体的には、青森県国際交流協会およびJICA青森デスクへの聞き取り調査を実施し、「地域の国際化」に向けた各種事業内容の現状と課題、学校教育との連携状況などの実態を解明に取り組んだ。その成果をもとに、学習プログラムの開発に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、具体的な学習プログラムの開発に取り組み、その成果を教育実践を通じた検証にかけ、研究論文として報告することが出来た。 また理論的整理の基礎となる資料やデータ(実践事例)の収集も順調に進んでおり、地域内のネットワーク構築も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の2点を柱に、研究を継続的に推進していく。 一つは、異なる地域素材を活用した国際理解教育の授業開発である。すでに、「十三湖」を題材にした高等学校・歴史学習の授業開発に取り組んだが、次に歴史から現代に焦点を移して授業開発に取り組む予定である。その際、「国際観光」や「農産物の輸出」、「世界遺産(白神山地)」の教材開発を予定しており、可能であれば小・中学校を対象にする予定である。 もうひとつは、上記の授業開発の指針となる理論的視座を明確化することである。そのために、「地域」に視点を置いて国際理解教育を方向付けようとする理論的言説の分析と、具体的な教育実践事例の分析を継続的に進め、なぜ「地域」に立脚しなければならないのか、どのような素材をどのような視点から教材化すればよいのかについて理論的に解明する予定である。
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