2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730723
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
郡司 明子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (00610651)
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Keywords | からだ / 気づき / 対話 / アート教育 / 衣食住 / レッジョ・アプローチ / アートプロジェクト / 身体感性論 |
Research Abstract |
1.アート教育(からだ・気づき・対話)の理念形成及び実践事例の収集と分析:本研究は、リチャード・シュスターマンによる「身体感性論」Somaestheticsを理念形成の拠り所としている。そこで、氏の来日により実現したワークショップ(フェルデンクライスメソッドによるボディ・スキャン等)や講演に参加し、直接、氏の哲学や活動に触れ「気づき」を重視するボディ・ワークの可能性をアート教育との関連において見出すことができた。また、シュスターマン氏と交流が深く、身体教育に関する思想に造詣の深い樋口聡氏(広島大学)を訪ね、研究の方向性に示唆を得たことも有益であった。 他方、レッジョ・アプローチの調査・分析によるアート教育の理念及び実践事例収集も各種研究会やVea Vecchi『Art and Creativity』輪読会への参加等を通じて進展させてきた。 2.題材及び指導法の開発と試行・評価:子どもの「からだ」に働きかける題材及び指導法の開発として以下の実践を行い、評価分析を行った。①「見立てワークショップ」於)inSEA(国際美術教育学会、英国カンタベリ)本研究協力者らとの共同研究②中之条ビエンナーレ2013における教育普及プログラムへの参加「みる・きく・はなすうおーくつあー」(対話による鑑賞教育の提案)、「奏でよう♪中之条ビエンナーレ」(音を契機とした地域性・多感覚性を活かす題材提案)、「クレープdeアート」(食を契機とした地域性・多感覚性を活かす題材提案)いずれも本研究協力者や学生との共同研究。 3.平成25年度における研究成果の公開:各種講演やワークショップの実施、研究紀要への投稿、学会での口頭発表等を通じ、研究成果を公開し、広く社会一般に還元すると共に汎用性を図ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主な研究内容は、アート教育の理念形成及び実践事例の収集分析と「からだ・きづき・対話」を重視する題材及び指導法の開発・試行・評価である。 前者は、関連する文献調査や研究会、シンポジウム、ワークショップ等への参加によって、全体像が見えつつある。なかでも、「身体感性論」を提唱するリチャード・シュスターマン氏来日に伴い、実際に氏へのインタビューや最新の活動にふれることが実現し、本研究の基盤を構築するうえで重要な機会となった。また、レッジョ・アプローチに関する調査分析においても、研究協力者によるレッジョ・エミリア市再訪問・リサーチ内容の共有を図るなど、24年度のINTERNATIONAL Study Groupへの参加以来継続した研究体制が確立されている。さらに、レッジョ・アプローチを牽引するシモーナ・ボニラウリ氏(ペダゴジスタ)やマリーナ・モリ氏(保育者)らの来日に伴い、その教育哲学や実践事例の多くを吸収する機会も得てきた。 後者のアート教育実践においては、InSEA(国際教育学会)や群馬県の過疎地域におけるアートプロジェクトである中之条ビエンナーレ2013への参加によって、多様なフィールドでの試行が可能となり、それに伴う評価分析も、研究紀要「地域アートプロジェクトにおける美術教育の実践-中之条ビエンナーレにおける表現と鑑賞のワークショップ-」への執筆を通じて明らかにすることができた。また、ビエンナーレ開催中に行ったシンポジウム「子どもたちがコミュニティを再生する-アートにふれる・つくる・みる・かんがえることを通したアート・コミュニケーションから何を学んだか」において、実践に対する省察を深めることができた。これらのことから、当初の計画通り、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アート教育(からだ・気づき・対話)の理念構築:「身体感性論」、レッジョ・アプローチ等を基底に、本研究テーマを構造的に捉え、その理念を明確にし実践研究に接続する。レッジョ・アプローチの調査・分析のまとめとして再度イタリア、レッジョ・エミリア市への渡航も予定。ローリス・マラグウィッチ国際交流センターや幼児学校等を訪れて、街と一体となったアートプロジェクトのリサーチを行う。そこで得た知見を、アーツ前橋(地域の芸術複合施設)や学校教育におけるアートプログラムに反映していく。 2.これまでのアート教育実践に改善を加えた題材及び指導法の試行と評価:前年度までの実践に改善を加えた題材及び指導法について、再度実践を行い、その有効性を検証する。特に、衣食住に関するキーワードに着目し、ワークショップや学校教育における授業実践での評価分析を丁寧に行う。 3.3か年間の研究成果のまとめと公開(発表):①子どもの「からだ」の危機的状況の原因及びそれを改善・克服するための考え方と方法等を踏まえたアート教育に関する研究の成果を報告書等にまとめる。②学会誌及び学会の口頭発表、成果還元のためのシンポジウム、ワークショップ等の発表の場を設け、汎用性を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
身体感性論に関わるボディ・ワーク等の経験を踏むため、渡航による研修を予定していたが、米国カリフォルニア大学よりリチャード・シュスターマン氏の来日があったため、都内でのワークショップ及び講演会等への参加が叶った。したがって予定していた海外研修予算の差額が生じた。 1.文献、資料収集:身体論(哲学・美学・芸術学・心理学等)関連文献、学習論関連文献、美術教育関連文献等の購入を予定。「からだ・気づき・対話のアート教育」の理念をまとめるべく、最終的に必要な資料を収集、分析、理解を進めたい。2.造形材料費等:メディア機器を含む文具等、ワークショップ、授業実践の際に活用する造形材料の購入を予定。3.国内外における調査研究旅費:都内開催の研究会参加、イタリア、レッジョ・エミリア市におけるレッジョ・アプローチのリサーチ(アート教育の理念構築を目的とする)、美術科教育学会での口頭発表等を予定。4.研究成果の発表に関わる費用:3か年の研究成果をまとめる報告書及び成果発表(シンポジウム、展覧会)等を予定。
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] The Mitate workshop
Author(s)
手塚千尋・茂木一司・曽和具之・佐藤真帆・大西景子・上田信行・郡司明子・
Organizer
InSEA European Regional Congress:Tales of Art and Curiosity | Canterbury2013
Place of Presentation
Canterbury Christ Church University
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