2014 Fiscal Year Annual Research Report
栽培教育の現状と課題に関する基礎的研究:学校園の地力改善をめざして
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24730724
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荒木 祐二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00533986)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学校園 / 土壌 / 生物育成 / 栽培学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に実施した調査により,堆肥(アドニス)の最適基肥量が既存の基準値の2倍であることが示された。今年度は同量の基肥量が最適であるかを明らかにするためモニタリングを実施した。しかし,天候に恵まれずに作付したサツマイモが十分に生育できなかったことから,実証には至らなかった。一方で,ブロッコリーやハツカダイコンを用いた教材開発に着手し,土壌環境に目を向ける栽培学習の指導法の手がかりをつかんだ。また,今年度は本研究課題の最終年度として,これまでの研究成果を論文や研究会等で発表するとともに,土壌改善の手法と栽培学習の指導例に関する情報を地域の学校教員に発信した。 本研究課題では,教育現場が抱える栽培学習の課題を顕在化した。教員は栽培学習に対して「生きる力」の育成の学習効果を期待している反面,その実施には指導経験不足から半数以上の教員が指導に不安を抱えていることが示された。栽培学習を取り巻く課題は,時間的制約,空間的・物質的制約,指導法の未確立,植物育成上の障害,教員の知識・情報の不足の5つに集約された。なかでも,「指導法の未確立」に関しては,生物育成は学習活動事例がわずかに提示されるにとどまり,本質的な指導内容の概念等が整理されていない課題が浮き彫りになった。また,「教員の知識・情報の不足」も看過できず,教員が生物育成を履修・指導した経験に乏しく,実用的な教材開発も進んでいないことから喫緊性の高い課題に位置付けられた。こうした現状を勘案すると,生物育成に関する系統的な指導法を確立するためのグランドデザインを策定し,実学的な学習を行うための教材開発・実践授業モデルを,学術的な見地から提案することが今後の課題といえよう。
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