2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Case Study for Changing Mathematics Teachers' Belief and View Points of Lesson Observation
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24730726
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松田 菜穂子 (勝亦菜穂子) 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (90625667)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 授業研究 / 授業観 / 問題解決型の授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの成果を踏まえ、本年度は日本式の問題解決型授業の過程の中でも特に重要で特徴的とされている「比較検討」場面に焦点を当て、海外の数学教育者と日本の数学教育者が同じ授業を参観した時に、授業の出来事をどのような観点で観察し、それらについてどのような解釈を与えるかを明らかにした。 具体的には、研修員が日本でどのような授業を参観したかを明らかにするために、参観した授業ビデオデータから入手可能な比較検討場面及びその周辺場面での出来事を抽出した。その際、クラス全体の考察対象となった「公にされた考え」と、それらを授業者がどのように考察させたかについて「比較検討:共有化」と「比較検討:深化」の視点で分けて抽出を行った。次に、協議会での発話記録と研修員の日誌を分析し、それらの出来事に対して研修員と日本の数学教育者がどのような観点で観察し、協議の後で研修員がどう解釈したかを特徴付けた。同様に、研修員による模擬授業と研究授業とそれらの協議会での発話記録からも、授業観察観点と解釈を明らかにしていった。特に日本の数学教育者との解釈の乖離があった箇所に着目し、アフリカと日本の数学教育者の授業観察観点の違いから、その背後にある価値観の様相を特徴付けた。 結果、「比較検討:共有化」から1つの一番良い方法に集結すべきかどうか、比較検討での比較対象は思考か、表現か、比較検討で教師が意図的に指名することの目的と意味について、アフリカと日本の数学教育者の間に価値観の相違が見られ、そこに、日本の問題解決型授業で大切にしようとしている教育的価値観が表出した。授業観察の観点は文化により違いがあること、またそれが原因で協議会での議論が噛み合わない場合があるという実態から、授業の具体的な証拠に基づき語ることは、国際的な授業研究を進める上で、不可欠な要素であることが明らかとなった。
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