2012 Fiscal Year Research-status Report
高等学校の総合的な学習におけるキャリア教育の評価モデルの構築
Project/Area Number |
24730732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安達 仁美 信州大学, 教育学部, 助教 (30506712)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 総合的な学習 / キャリア形成 / 縦断的調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高校において総合的な学習を経験した人物の高校卒業後のキャリア形成過程を追跡調査し、質的調査と量的調査を用いて総合的な学習とキャリア形成の関連要素を分析することを通して、共有可能なキャリア教育の評価モデルを提案することである。本研究によって、社会実態に沿ったキャリア教育の評価が可能となり、さらに総合的な学習がもたらした教育的意義についても明らかにすることができる。よって、今後の我が国のキャリア教育と総合的な学習の推進において学術的な波及効果が期待できる。 平成24年度は、高校1年から卒業後8年間のキャリア形成と総合的な学習との関連要素を質的調査法で描くことを中心に調査・分析を行った。まず、TEM(複線径路・等至性モデル: Trajectory equifinality model)(Valsiner & Sato 2006)や、TAE(理論構築: Thinking At the Edge)(得丸2010)等の質的調査手法について調査に適応可能か検討するために、調査対象者1名の高校3年間のキャリアの変容をTEMを用いて分析した。その成果は、中部教育学会第61回大会(2012年6月30日)において発表しTEMを適応可能性について議論した。次に、高校卒業後の8年間も含めた全体像をTEMを用いて分析し、日本質的心理学会第9回大会(2012年9月2日)においてその成果を発表した。 長期的な縦断調査を通して特定の人物のキャリア変容過程をTEMを用いて分析した結果、高校時代の学習内容の捉えなおしや、時期(高校生、大学生、就職3年目)ごとの自己のキャリアに関する語り直しがみられることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量的調査に関して、当該年度に名大附属高校の研究部に所属する教諭と相談のもと、卒業生を対象に実施する量的調査の調査用紙の設問内容に関する検討を行う予定であったが、調整がとれなかったため翌年度に持ち越すこととした。質的調査に関しては、データの収集はほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
①高校で総合的な学習を経験した人物に対する量的調査の実施に向けて、名大附属高校の研究部に所属する教諭と相談のもと、調査用紙の設問内容と量的分析手法に関する検討を行い調査準備を開始する。 ②12月を目途に2004年度卒業生240名に質問紙を郵送する。 ③前年度に収集したインタビュー調査のデータをTEAを用いて分析する。 ④参加型・対話型の授業を中心としているフィンランドのキャリア教育の実情について聞き取り調査を実施する。 ⑤これまでの成果を日本質的心理学会第10回大会(2013年9月 於:立命館大学)等において発表し意見交換をする。また、当該領域の国内学会やWALS2013(2013年9月於:スウェーデン)等の国際会議に参加し情報収集をする。 ⑥3月に翌年度の研究計画を調整し、4月からすぐに調査に入れるように準備をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①当初計画で見込んだ調査を次年度に繰り越したため次年度使用額が生じた。 ②調査資料をデジタル化するプリンタやスキャナ、データ保存に用いるハードディスクの購入や、授業を撮影するビデオカメラ及びその周辺機器を購入するために設備備品費及び消耗品費を用いる。 ③資料整理のために学生の雇い上げ、また、インタビューデータのトランスクリプト作成を外部業者へ委託するために謝金・その他を用いる。 ④キャリア教育、総合的な学習に関連する文献・資料を収集して分析するために設備備品費を用いる。 ⑤研究成果を随時発表し、国内外の研究者と情報交換・学術交流するために、国内旅費及び外国旅費を用いる。学会参加費としてその他(学会参加費)を支出する。
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