2014 Fiscal Year Research-status Report
高等学校の総合的な学習におけるキャリア教育の評価モデルの構築
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24730732
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安達 仁美 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30506712)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キャリア形成 / 縦断的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高校において総合的な学習を経験した人物の高校卒業後のキャリア形成過程を追跡調査し、総合的な学習とキャリア形成の関連要素を分析することを通して、共有可能なキャリア教育の評価モデルを提案することである。本研究が展開されることによって、社会の実態にあったキャリア教育の評価の開発が可能となる。さらに、本調査では、総合的な学習の本格実施が開始された2002年に、高校1年生だった人物を調査対象としている。よって、キャリア教育としての影響だけでなく、総合的な学習の導入がもたらした教育的意義についても、明らかにすることができる。 昨年度は、前年度から引き続き、高校卒業後10年目のキャリア形成の様相を質的研究手法で描くことを中心に検討し、時間的文脈と文化社会的文脈との関係の中で捉え記述する枠組みであるTEM(複線径路・等至性モデル:Trajectory equifinality model)ついて検討するために、TEMを用いた研究論文を整理し、また、価値観と日常行為との間を結び付け、変容に影響を与える中間層を設定したT-MLG(発生の三層モデル:Three Layers Model of Genesis)の理論枠組みについて先行研究と文献より理解を深めた。 調査対象者への10年目のインタビュー調査を予定していたが日程の調整がつかず、予定をしていた調査に変更が生じたため、研究期間を1年間延長するなどの計画の修正をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度は、2002年から継続して聞き取り調査をしてきた調査対象者4名に対し、就職5年が経過した現在のキャリア意識に関してインタビュー調査を行う予定であったが、対象者との都合がつかず3名に対して調査を実施することができなかった。その結果を踏まえて、国際会議での発表と他国のキャリア教育の実情について調査を行う予定であったため研究計画に変更が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
①継続して聞き取り調査を行ってきた調査対象者に、現在のキャリア意識に関するインタビュー調査を行う。 ②収集したインタビュー調査をTEMやTMLGの理論を用いながら分析する。 ③フィンランドやドイツ等の参加型・対話型の授業を行っている他国のキャリア教育の実情について情報収集をする。 ④これまでの成果を日本質的心理学会(2015年10月 於:宮城教育大学)等において発表し意見交換する。また、当該領域の国内学会や国際会議に参加し情報収集をする。 ⑤3月までに4年間の研究成果を総括しまとめる。
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Causes of Carryover |
2002年度から継続して聞き取り調査を行ってきた調査対象者にインタビューを行う予定であったが、対象者との都合がつかず4名中3名に対して調査を実施することができなかった。また、その結果を踏まえて、国内学会での発表や、海外調査を行う予定で旅費を見込んでいたが、研究計画に変更が出たために未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査対象者3名に対しては日程を再度調整し、調査が実施できることが見込まれている。未使用額は、インタビューデータのトランスクリプトの作成に際する外部業者への委託と、資料整理のための学生の雇いあげに用いる。また、その調査結果を国内外の研究者と学術交流するために、国内旅費や外国旅費として用いる。
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