2015 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校の総合的な学習におけるキャリア教育の評価モデルの構築
Project/Area Number |
24730732
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安達 仁美 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30506712)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 縦断調査 / キャリア教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高校において総合的な学習を経験した人物の高校卒業後のキャリア形成過程を追跡調査し、総合的な学習とキャリア形成の関連要素を分析することを通して、キャリア教育の評価について検討することであった。 平成27年度は、高校1年生から就職3年目までの縦断的なインタビュー調査で語られた総合的な学習の時間に関する振り返りの内容に着目し、総合的な学習の時間の意味づけの変容過程について検討した。高校1年生、高校3年生、大学1年生、大学4年生の四つの時点のトランスクリプトをカテゴリー分けし、総合的な学習の時間に関する価値づけがみられる語りを抽出した。学習者として語っている“この時”の語りと、既修者として振り返っている“あの時”の語りに分けて内容にコードを付し、意味づけの変容について考察をおこなった。 その結果、①卒業後に他者の指摘を受けて自己認識される総合的な学習の価値があることや、②大学のゼミや就職活動や社会人としての生活を送る中で、高校生の頃には言語化されなかった総合的な学習の意味が立ちあらわれてくること、③総合的な学習の時間のキャリア教育としての成果は、即効的にはかられるものに限らず、文化社会的な背景をうけて流動的に変化し熟成されていくことが明らかとなった。 総合的な学習のキャリア教育としての価値は、即効的な評価では不十分であり、文化社会的な影響を受けて熟成されていくことを見通した、長期的な視点にたった教育評価を検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)