2012 Fiscal Year Research-status Report
代数的推論に基づく算術から代数への移行過程に関する記号論的研究
Project/Area Number |
24730744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
和田 信哉 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (60372471)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数学教育学 / 算数と数学の接続 / 代数的推論 / 記号論 |
Research Abstract |
本研究は,小学校算数における数と計算領域から中学校数学における数と式領域への移行過程を,代数的推論の観点から明らかにすることを目的としてる。特に,小学校低・中学年段階において代数的推論を促進することに焦点化している。24年度は,本研究の初年度ということから,代数的推論や記号論に関する文献の収集及びこれまでの授業データを整理し,それら収集・整理した資料の分析・考察を行うことを計画した。 その結果,代数的推論に関しては,操作的表現や図的表現などの「具体に基づいた代数的推論」と数や演算の性質などの「抽象に基づいた代数的推論」があり,小学校段階では抽象に基づいたものから推論させると困難であり,具体に基づいた代数的推論をいかに活用していくかが重要であることを明らかにした。 また,代数的推論を図式的推論(diagrammatic reasoning)の観点からみてみると,代数的推論は図式的推論とみなすことができる。したがって,その前提となっている表現の「構成規則」と「操作規則」に従って推論が進行することになる。この観点から,操作的表現と図的表現に基づく推論に関しては,その表現の規約性が重要になるが,本来,これらの表現は無規約的なものである。そのため,これらの表現における規約性とは何か,それをどのように付与させるか,ということが重要となる。 さらに,以上の考察をふまえ,小学校第二学年の「加法と減法の相互関係」の単元について,代数的推論を促進させる授業構想案を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した24年度の研究実施計画と照らし合わせると,本年度はほぼその計画通りに進めることができた。ただし,小学校低・中学年の数と計算領域のカリキュラムの検討に関しては,低学年(第二学年)の一部の検討だけにとどまっており,第二学年の乗法の導入場面や中学年(具体的には第三学年)の乗法と除法の相互関係の検討には至らなかった。しかし,それ以外では順調に研究が進展していると判断できるため,「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進については,24年度の研究実施計画が順調に進展していることから,当初の25年度の研究実施計画に従っていきたい。 ただし,カリキュラムの検討に関して若干の遅れがあるため,場合によっては,第二学年の乗法の導入に関しては実験授業を行わないことを視野に入れて進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)