2012 Fiscal Year Research-status Report
数的理解の支援・深化につながる図表現に関する実証的研究
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24730749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
金田 茂裕 東洋大学, 文学部, 准教授 (30402093)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 算数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(A) 国内外の算数教科書・指導書における「図表現」を分析し、数的理解を支援または深化させる目的で、どのようなものがどういった場面で使用されているか、その特徴とバリエーションを明らかにすること、(B) 教育心理学的な調査・実験を実施し、多様な種類の図表現が、どういった点で数的理解を支援しうるか、また、深化につながるか、その教育的効果を実証的に検討すること、(C) 以上の知見を総合し、教育実践の現場に対して、図表現を用いた数的理解の支援と深化の方法を提案することである。平成24年度は下記3点の研究成果をあげることができた。 1.論文「フィンランドの算数教科書の加減法のイラストレーション」を東洋大学文学部紀要に執筆した。PISA調査で上位にあるフィンランドの算数教科書における図表現の特徴を日本の教科書と比較し明らかにした。 2.論文「Generating scenarios of addition and subtraction: A study of Japanese university students.」が The Journal of Mathematical Behaviorに掲載決定した。子どもの頃に学習した加法と減法の多様なシナリオを大人(大学生)がいかに理解・記憶しているかを図表現を使用した調査により明らかにした。 3.論文「Generating scenarios of division as sharing and grouping: A study of Japanese elementary and university students.」が Mathematical Thinking and Learning に掲載決定した。子どもと大人(大学生)が除法の多様なシナリオをいかに理解しているかを図表現を使用した調査により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の(A) (B) (C)のうち、(A) 「国内外の算数教科書・指導書における「図表現」を分析し、数的理解を支援または深化させる目的で、どのようなものがどういった場面で使用されているか、その特徴とバリエーションを明らかにすること」の作業を進めた。日本、アメリカ、フィンランドの算数教科書における図表現の分析を行った。論文「フィンランドの算数教科書の加減法のイラストレーション」はその成果の一部である。今後、各国の算数教科書における図表現の分析をさらに進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の(A) (B) (C)のうち、(A) の作業をさらに進めるとともに、(B) 「教育心理学的な調査・実験を実施し、多様な種類の図表現が、どういった点で数的理解を支援しうるか、また、深化につながるか、その教育的効果を実証的に検討すること」の研究を開始する。具体的には、(1) 学習者の立場からみた図表現の種類とその理解に及ぼす影響、(2)教える立場からみた図表現の種類とその使いやすさ、に関する調査・実験を構想し、実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の(A) (B) (C)のうち、(A) の作業をさらに進めるために、国内外の資料(算数・数学教科書・指導書など)の収集を行う。また、テキスト中の図表現という画像データを記録・分析するための機材およびソフトが必要である。教育心理学的な調査・実験の構想と、実施段階において、調査冊子・質問紙の作成にかかる諸経費、データ保存用のメディア、資料のPDF化による保存のための費用、郵送費などが必要である。他に、情報の収集のための調査旅費、論文作成のための英文校閲費なども必要であり、次年度の研究費において使用することを計画している。
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