2012 Fiscal Year Research-status Report
青年期発達障害者の自己理解の特性を踏まえた自己形成支援プログラムの開発
Project/Area Number |
24730760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小島 道生 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50362827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自己理解 / 自己形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、青年期発達障害者の自己理解の特性を踏まえた自己形成支援プログラムの開発である。平成24年度は、3カ年計画の初年度として、まず青年期発達障害者の自己理解と自己形成に関する横断的な調査研究に取り組んだ。現在までに、およそ50名程度を対象として面接調査が終了し、分析を進めている。分析の観点としては、主に広汎性発達障害、知的障害(ダウン症を含む)といったように障害種別と生活年齢による発達的変化について検証を進めている。分析の結果、広汎性発達障害者の自己理解については、知的障害者とは異なり、他者との関係の中でとらえていくことの困難さなどが特徴として明らかになりつつある。また、自己形成についても、発達障害者の発達段階について検討を進めているが、広汎性発達障害者と知的障害者という障害種別による違いとともに、知的発達段階の影響も示されつつある。同時に、発達障害者の自己理解と自己形成について縦断的な研究も開始した。 次に、A県内のすべての知的障害特別支援学校の教師を対象として、発達障害者の自己理解及び自己形成に関する指導実践の状況について、アンケート調査を実施した。調査内容としては、主に自己理解に関する質問項目については、例えば自分の好みについての理解などを取り上げ、これらの実施の有無、実施していない理由や頻度に関して選択式で尋ねた。また、自由記述で、自己理解の指導についての具体的な指導内容と必要な情報について調査を行った。現在データについて分析を行っているところであり、自己理解の指導の実態と指導の困難点などが明らかになりつつある。 特別支援学校等を対象とした自己理解に関する調査については、予備調査を実施して、本格実施に向けての準備を進めている。次年度、予備調査の成果を踏まえて本調査を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的においては、まず第一に発達障害者の自己理解と自己形成に関して検証していくことを目的としている。人数と対照群の設定について、一部変更になっているものの、本研究課題についてはデータ収集及びデータ分析については進み、一部結果が示されつつある。したがって、発達障害者本人を対象とした面接調査については、ほぼ順調に進んでいると考えられる。 第二の目標である教師を対象としたアンケート調査については、特別支援学校の教師を対象として、予備調査を踏まえた上で、ほぼ完全に実施できた。現在データ分析中であり、今後研究成果を公開していく予定である。なお、当初の計画では、中学校及び高等学校にも実施する予定であったが、同一の調査項目を用いて学校種による違いを検討するのではなく、むしろ特別支援学校内において、小学部、中学部、高等部という発達障害者の支援にかかかわる特別支援学校内での変化について分析する方向へと変更をした。現在、こうした特別支援学校内での学部ごとの違いについても検討を行っているところである。 第三の目標である特別支援学校等を対象としたアンケート調査については、予備調査は実施できたものの、本調査は実施ができていない。アンケート調査の実施に向けて準備ができており、年度内には、実施できなかったが、次年度には取り組む予定である。 以上のことから、本年度について3つの研究目的のうち2つについては、ほぼ達成することができており、2つの研究については順調と考えられる。1つの研究については、本調査ができていないため、次年度において実施をする予定であるが、これも準備態勢は整っている。以上の状況から、総じて、おおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、まず特別支援学校等を対象としたアンケート調査を実施する。同時に、通常学級、特別支援学級及び特別支援学校教師約50名を対象とした面接調査を実施し、発達障害者の自己理解に関する指導の現状と課題について明らかにする。特に、アンケート調査の内容を踏まえて、自己理解の指導の困難さと解決方法、さらには自己形成の支援の効果的なあり方について検討していく予定である。これについては、現在特別支援教育で推進されているキャリア教育との関係からも検討していく。さらに、先進的な取り組むを行っているイギリスの訪問などを実施し、近年の自己の心理学理論も考慮した支援プログラムの開発に着手する。同時に、青年期発達障害者の自己理解と自己形成に関する縦断的研究について進めるとともに、研究成果の公開を行っていく。 平成26年度においては、これまでの研究を総括し、支援プログラムの開発と実施、そして検証を行う予定である。教師を対象とした研修会などを通して、教育現場での効果をあげるとともに、より効果的なプログラムの開発に取り組む。次に、研究成果を基にガイドラインを作成するとともに、研究成果を報告書としてまとめ、普及につとめる。同時に、青年期発達障害者の自己理解と自己形成に関する縦断的な研究のまとめを実施するとともに、学術的な研究成果については学会や学術論文に積極的に公開を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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