2013 Fiscal Year Research-status Report
広汎性発達障害児のストレス場面における認知に関する研究
Project/Area Number |
24730763
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 知加 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (30581558)
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Keywords | 自閉症スペクトラム / ストレス |
Research Abstract |
自閉症スペクトラム(ASD)の子どもへの支援は、医学だけでなく、教育学、心理学、社会学など学際的な広がりを持ちつつ広がっている。 ASDをもつ子どもは障害特性による対人関係上の問題、感覚過敏など、日常生活の中でストレスにさらされる機会が多いとされている(Groden et al,2006)。そこで本研究では、ASD児のストレスとそれにまつわる社会的スキル、特に対人的問題解決スキルとの関連を検討し、メンタルヘルス改善に向けた心理教育や、ストレスが心身に影響を及ぼしている子どもの認知行動療法など、心理学的支援法の樹立に役立てることを目的とした。 平成25年度には、平成24年度に実施したアンケート調査の分析を実施した。アンケートでは、子どものストレスの原因と頻度、ストレスにどのように対処しているのかというストレスコーピング、ストレス反応、周囲の人などのソーシャルサポートなどについて子どもに尋ねた。 その結果、ASD児が感じるストレスは先行研究と大きな差はなかったが、ストレス反応については全体的にやや高かった。また、ストレス場面において解決しようと積極的に対処することがやや少なく、あきらめたり、回避する傾向があった。また、学業におけるストレスをより強く感じている子どもでは、不機嫌・怒りや無気力などのストレス反応が見られ、ややストレス場面においてあきらめるという対処法を取ることが多かった。また、ストレスの原因については、学業、叱責に関するストレスと先生との関係が中程度に相関していた。 この結果から、ASD児はストレス場面の積極的対処法の学習を促すことの必要性、学業におけるストレスが心理的な健康と関連しており、ストレスの原因を減らすためには学業への直接的な支援だけでなく、教師との関わりが重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度には、対人的問題解決スキルの測定に関する調査を行う予定であったが、機材の関係で実施することができなかった。現在、平成26年度には機材が整っており、本年中には調査を実施し、分析を行うことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
視線計測ができるTobiiを用いた研究を実施する。大阪大学医学部附属病院小児科親との子の発達相談および発達障害外来を受診する子どもとその養育者30名に協力をお願いし、対人的な問題が起こっている場面の動画を見て、何が起こっているのか、どのように解決するのかなどインタビューに答えてもらう。その内容を質的および量的な分析を行う。 研究の実施には、臨床心理士、もしくは臨床心理学専攻の大学院を卒業した人材をアルバイトで採用し、より効率的に研究を進めるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては、視線計測システムであるTobiiが使える状態になく、経費の使用が滞った。 平成26年度には、視線計測システムに付随するTobiiスタジオの稼働に耐えうる容量の大きいパソコンの購入、調査に携わるスタッフの人件費、分析用ソフトの購入等が、年度の早い時期に必要となるため、
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Research Products
(1 results)