2015 Fiscal Year Research-status Report
広汎性発達障害児のストレス場面における認知に関する研究
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24730763
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 知加 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (30581558)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 対人的問題解決スキル / ストレス / 自閉症スペクトラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、自閉症スペクトラム児のストレスが問題解決スキルの向上によって緩和されるとの仮説をもとに、自閉症スペクトラム児のストレス源、ストレス反応と問題解決スキルとの関係、およびソーシャルサポート、ソーシャルスキル、問題行動との関連を検討するものである。 昨年度には、自閉症スペクトラム児に対し、問題解決スキルに関するインタビュー調査、ストレスに関連する質問紙調査を継続して実施した。問題解決スキルについては、対人的な問題解決を必要とする場面の動画を視聴してもらい、解決法などについて質問を行った。 現在まで20名のデータを収集し、統計的分析を実施した。結果、先生との関係においてストレスを感じている子どもは、自分が最も良いと思う対人的問題解決方法をすることに対する自信が低い、感覚的な特性からくるストレス感じている子どもや、抑うつ・不安というストレス反応が高い子どもは、対人的問題場面をより解決するべきと捉えているといったストレスと問題解決スキルとの関連がみられた。また、観察されるソーシャルスキルとの関連では、集団行動やコミュニケーションスキルは、その子どもがもっともよいと考える解決法を実行する際の自信と負の相関がみられ、仲間関係スキルは場面理解のよさと正の相関が見られた。また、対人的問題場面の種類では、先生との間での問題解決場面や自分に危害が与えられる場面における問題解決への動機づけは、身体的反応、抑うつ・不安感情との相関が見られた。 ストレスとソーシャルスキル、問題解決スキルの間には関連が見られ、対人的問題の種類による違いも見られた。これらのことより、教師との関係を調整することの重要性、問題解決スキルが対子どものみでなく、対大人のスキルの学習も必要であることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者が乳児の育児を行いながら研究を行っており、子どもの看病などによって、十分に研究に従事できなかったため。また、それによって被験者の募集が十分にできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究補助のためのアルバイトに調査の協力を依頼する。また、自閉症スペクトラム児のデータの収集を継続するとともに、定型発達児のデータの収集を行うため、被験者を募集し、データを収集する。
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Causes of Carryover |
申請者が乳児を育児しながら研究を実施していたため、子どもの看護等で十分に研究に従事できなかったため。学会発表についても遠方への出張が難しく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、研究補助のためのアルバイトを雇用し、より研究が潤滑に進むようする。また、視線計測のデータを分析するために、Tobiiテクノロジージャパンに分析を依頼する。
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