2014 Fiscal Year Annual Research Report
発達段階と障害特性に応じたセルフ・アドボカシー・スキル教育の実証的研究
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24730765
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片岡 美華 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (60452926)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己権利擁護 / 自己理解 / 提唱力 / 障害理解 / 発達段階 / 障害特性 / 教育的支援 / ナラティブアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、セルフ・アドボカシー・スキル(SAS)教育を行うにあたっての1.基礎的力量、2.障害特性に応じたSAS教育の方法、3.効果的な実践方法の検討であった。 目的を達成するため、期間を通して発達的観点と障害特性に着目したSAS教育を実践してきた。具体的には、年齢、障害種の幅を広げた個別指導を行いつつ、学校での授業実践を観察、分析することで集団指導の検討も行った。とりわけ最終年度は、知的障害とADHDのある中学生を個別指導の対象とし、自己理解と表現においてASDとの差を見出した。臨床結果より、目的1については、用語や状況を理解する力、9歳頃の自己客観視の力が土台として必要であると言えた。また、義務教育段階と高等教育段階では得られる支援や支援の考え方においても違いががあったことから、提唱力においても、年齢に応じた表現や対処法を柔軟に学習することが求められた。目的2については、ASDの有無が自己理解、提唱力共に影響を与えることが示唆され、知的障害の有無もSAS教育の内容や指導法に影響することがわかった。目的3については、発達段階を意識することや、障害種や言語力に応じた提唱法を示すことに加え、ナラティブアプローチが有効であるといえた。これら結果の一部は書籍や学会等で公表し、最終報告書としてまとめた。 一方、多面的に成果を検討するには、SASの先駆事例があり、多様性に応じている海外にも目を向ける必要があると考える。そこで、成果を国際学会で発表したり教育機関での研修を行ってきた。最終年度は、リトアニアで開催された国際LD学会で発表を行い、期間中には、英国での研修やスロベニアとシンガポールでの講演を行い、研究者の招聘も行った。また国内でも、学会の自主シンポジウムの企画・報告や研修会での講演・セミナー企画を積極的に行うなどして、SASの理解啓発とともに、多面的に検討する機会とした。
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Research Products
(7 results)