2012 Fiscal Year Research-status Report
発達性読み書き障害児の視覚処理特性に基づいた読み支援法に関する研究
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24730768
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Research Institution | Tokoha Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 隆章 常葉大学, 教育学部, 講師 (50541132)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 学習障害 / 視覚処理特性 / 読み書き支援 |
Research Abstract |
本研究では、学齢期に適用可能な視覚処理特性の評価課題を作成し、発達性読み書き障害児における視覚処理特性と読み困難の関連を明らかにすることを目的とした。 平成24年度は、1)通常学級で適用可能な視覚処理特性の評価課題の作成、2)視覚処理特性を考慮した支援法の有効性に関する事例的検討を行った。 1)については通常学級に在籍する小学2・3年生の定型発達児(各学年100名)を対象に、読み書きの習得と読み書きスキルと関連する認知機能(視空間認知の処理効率性、聴覚記憶)の関連について調査を実施した。その結果、読み書き習得が全体の10パーセンタイル未満の事例の中には、特異的に視空間認知の処理効率が低い事例が認められ、読み書き習得に関連した視覚処理特性の評価課題としての有効である可能性を明らかにした。読み書き習得に困難を示した事例の中には視空間認知の処理効率の低下を示ともに、聴覚記憶の困難を併せ持つ事例も認められたことから、視空間処理と聴覚記憶の認知特性を考慮した検討が必要であることが示唆された。 2)については、遠隔地と大学をインターネット回線を用いて、支援実施場所から遠方に住む発達性読み書き障害児1名を対象に視覚処理特性に基づく読み書きスキル習得を目的とした支援を実施し、支援法実施に伴う読み書き課題の成績の推移より、支援法の有効性について縦断的検討を行った。その結果、視覚的手がかりを用いた支援実施に伴い、読み書きスキルに習得が認められたものの、その定着の過程において語彙理解の程度が強く影響することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、視覚処理特性の評価課題の作成とその有効性の検討が終わっていること、および単一事例ではあるが発達性読み書き障害児を対象とした支援法の有効性について検討を開始していることから、研究の目的はおおむね達成できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、視覚処理特性を画数や文字タイプ、また心像度や頻度性など語彙属性との関連により検討を行い、読み書き支援課題の最適化を図る。またコンピュータ上で実施できるように、視覚処理特性に基づく読み書きスキル習得を目的とした支援支援プログラムの修正を図る。支援効果の検討に関しては、近赤外線脳機能測定装置を用いて支援実施前後における脳活動の変化の測定を行い、支援実施に伴う行動データの変化と関連する脳活動を検討することにより評価を行う。研究成果は、第51回特殊教育学会、および第22回LD学会において発表を行うとともに、順次、学会誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、コンピュータ上での実施可能な支援課題を作成するために、プログラミングソフト、および画像編集ソフトを購入する(物品30万円)。 また、脳機能測定を実施するための消耗品,およびデータ管理のための大容量HDDを購入する(物品20万円)脳機能測定の実施に伴う大規模なデータ解析を行うため、常葉大学の大学生に協力を求める(人件費:研究補助3名×6か月として10万円)研究成果は、特別支援教育に関連する国内学会(特殊教育学会とLD学会)および国際学会で発表する(旅費20万円)。研究協力が得られている小学校において複数回にわたり調査実施する(旅費5万円)。また、研究成果は学会誌に投稿する(研究成果発表費用として:その他5万円)
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[Journal Article] Facial identity recognition in children with autism spectrum disorders revealed by P300 analysis: A preliminary study2013
Author(s)
Gunji, A., Goto, T., Kita, Y., Sakuma, R., Kokubo, N., Koike, T, Sakihara, K., Kaga, M., Inagaki, M
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Journal Title
Brain and Development
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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