2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730770
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Research Institution | Takarazuka University |
Principal Investigator |
津田 聡子 宝塚大学, 看護学部, 助手 (20616122)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 発達障害 / 性教育 / 教員 / 月経 |
Research Abstract |
特別支援教育が推進されている中で、発達障害児への支援は重要な検討課題である。しかし、性教育に関しては現在障害の有無にかかわらず、根強い性教育の不要論や、地域格差などから性教育体制は統一性が少ない。障害のある子どもの場合、一般的な性行動を誤解したことによっておこる不適切行動から性被害や性加害の対象になりかねないという問題も挙げられ、早急に対応していく必要がある。本研究における初年度の研究計画は、障害のある子どもに対する性教育の実態を明らかにすることを目的とした。その1つとしてまた障害のある思春期女子の月経と月経随伴症状について調査し、障害の程度と月経や月経随伴症状の関連を分析した。方法は、近畿圏のA市特別支援学校4校の通学する女子の保護者に対し質問紙調査を配布した。結果、対象となる保護者205名中134名から回答を得た(有効回答64.5%)。回答者は母親が96.5%であり、思春期女子は療育手帳を97.7%のものが有していた。月経随伴症状を評価する尺度であるMDQでは、障害が重くなるほど主観的な項目である随伴症状は不明となっていた。さらに月経時の対応は8割のものが母親と回答し、障害により随伴症状が困難な中で負担も増強すると考えられた。そのため、一般的に用いられている指標では月経や月経随伴症状の評価は困難であり、疾患や障害を踏まえた指標の開発の必要性が示唆された。 同時に、特別支援学校に勤務する教員に対してを半構成的面接調査を行い、性教育への意識調査を実施した。その結果、教師間の意識の差異や学校間での教育方針の差異からの戸惑いが挙げられた。また性教育を行う上で性被害や性加害の防止を特に指導する必要性を訴える教員が多くみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は性教育の実態を明らかにすることを目的とし、実態調査を行うこととし、以下の3点について調査を実施してきた。 1特別支援学校の教員の性教育に関する意識や認識を調査するため半構成的面接を行った。(平成24年8月から継続中) 2我が国の性教育の歴史的変遷や障害のある子どもに対しての課題を諸外国の性教育と比較して文献検討を行い、その内容を紀要論文としてまとめた(平成24年4月~平成25年10月) 3障害のある思春期女子の月経に焦点を絞り月経や月経随伴症状に関しての実態調査の実施:①調査方法:質問紙調査、②調査対象・期間:特別支援学校に通学する思春期女子の保護者、計205名。;平成24年7月~10月 ③調査内容:対象の属性(年齢・性別・子どもとの続柄)、子どもの属性(年齢、療育手帳の有無、月経の有無と発来年齢)、月経随伴症状、月経時の対応、保護者の不安、要望など 4質問紙調査の結果の整理とまとめ:データ処理と分析(平成24年11月~平成25年3月)5今年度の研究成果のまとめ(2から3学会発表予定、1論文投稿予定)
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に明確になった教員の性教育に対する意識について引き続き検討し、諸外国との比較から、文化的社会的背景に関連した性教育の推進や阻害する要因を探り、我が国の性教育の課題を明らかにする。 1 学校における性教育の実態や教員の意識について質問紙調査を実施:質問紙の開発のための会議(4月~7月)。日本版と英語版、インドネシア語版を作成する。 2 調査対象:近畿圏の普通校・特別支援学校の教員、発展途上国(インドネシア)の教員 3 質問紙調査の実施(8月~10月) 4 質問紙調査の結果の整理(10月から2月) 5 24年度までの研究成果を学会発表、論文にまとめ投稿
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品:質問紙調査、文房具(PPCペーパー、封筒、インクなど) 国内・海外旅費(打ち合わせ会議、調査依頼への旅費、海外(インドネシア)への旅費、学会発表会、謝金等) その他:通信費(質問紙調査の郵送費:施設間往復)、会議費など
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